進歩の最先端にあると自負していたヨーロッパは、第一次世界大戦によって空前の人的・物的破壊を経験した。四つの伝統ある帝国、ロシア、ハプスブルク、ドイツそしてトルコが、地球上から消滅した。ヨーロッパで始まったあの大戦は、世界の人々の運命を大きく変えた。その後一〇〇年、人類は教訓を学ぼうとし、多くの試みを繰り返してきた。改めて一〇〇年前の大惨禍を想い、断罪も正当化も超えた何かを探ってみよう。
目次
【特集】
- 巻頭言
- 再臨、あるいは失われた可能性の時代中西 寛
- 「ホットライン」なき世界の戦争エリック・ゴールドスティン
- 欧洲大戦と日本のゆらぎ戸部良一
- オスマン帝国の解体とヨーロッパ藤波伸嘉
- 第一次大戦下日本の戦争報道と「戦後」論ヤン・シュミット
- 女たちのモード革命山田登世子
【論考】
- 「自民党システム」の形成と特質――リーダーシップを妨げるもの野中尚人
- 若者にとっての「保守」と「革新」――世代で異なる政党間対立遠藤晶久+ウィリー・ジョウ
- 芸術終焉理論は正しいか――アーサー・ダントを悼む三浦雅士
【地域は舞台】
- 芸術家の美意識と地域文化との融合
イサムノグチ庭園美術館(香川県高松市)桑田瑞穂
【世界の思潮】
- 文化とデモクラシーの行方張 競
- ニュージーランド社会を支える価値観将基面貴巳
- デジタル時代の歴史家たち岡田万里子
- 未来を予測する統計学渡辺 靖
【時評】
- 「徳川文明展」の構想芳賀 徹
- 美人の顔高階秀爾
- 第一次大戦の亡霊――歴史的アナロジーという誘惑細谷雄一
- 「芸術作品」をめぐる虚実皮膜の間――「佐村河内事件」の一側面渡辺 裕
- 柿の不幸藤森照信
- 日本の若者にとって未来は暗いか奥本大三郎
【座談会】
- 可能性としての「日本」鷲田清一+佐々木幹郎
+山室信一