『アステイオン』は創刊以来の四半世紀、本質的な「問題」を正面から語り、時代の大きな流れの中で「今」を問う試みを続けてきた。この基本的な姿勢にはいささかの変更もないが、新しい編集体制で臨んだ本号の特集では、各編集委員が「今、何が問題か」について自問することで、われわれの知的姿勢を改めて明らかにしておきたい。
目次
【特集】
- 巻頭言
- 心地よい停滞の中の不安田所昌幸
- 魂の幸福を語り合うこと張 競
- 恐怖とのつきあい方苅部 直
- 「太平洋の世紀」に細谷雄一
- 「アラブの春」がもたらしたもの池内 恵
- しんがりの思想――知性の公共的使用のために鷲田清一
【論考】
- 馬英九再選と台湾の「自己革新」松田康博
- 福島第一原発事故後の日本の電力産業橘川武郎
- ユーロ危機の深層――「対岸の火事」を超えて遠藤 乾
- 日本人にとっての「市民」中西 寛
- ニクソンと毛沢東の現実主義大嶽秀夫
【地域は舞台】
- 感動体験が子ども達を変えた――現代版組踊「肝高の阿麻和利」桑田瑞穂
【世界の思潮】
- 無邪気な政治の罪マーク・リラ
- ロシア政治の通奏低音袴田茂樹
- 二つのポピュリズムに揺れる米国ジョナサン・ラウシュ
- イタリア人論の系譜シルヴィオ・ヴィータ
【時評】
- 漱石の絵画贋作芳賀 徹
- 旅の東西高階秀爾
- ラジオの文化と「非公式」な担い手たち渡辺 裕
- 「日本では木は腐るのか?」藤森照信
- シカが増えて......奥本大三郎
【著者と語る】
- 文明というもろい果実――その起源と行方山崎正和+田所昌幸