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※第4回 文系研究者は「利益相反」を明らかにしていない? 実験科学者からの問い から続く。
サントリー文化財団が編集する論壇誌『アステイオン』では、いわゆる理系・文系とが相互の研究室を訪問し、その源流を辿ることによって、それぞれの文化の融解を狙う連載企画「超えるのではなく辿る、二つの文化」を掲載している。
98号本誌掲載「納得の文系に説得の理系」のスピンオフとして、研究室の訪問レポートを写真とともに紹介する。第5回目の訪問先は櫻井悟史氏(滋賀県立大学人間文化学部地域文化学科准教授)。
理系の研究者にとってパワーポイントなどのプレゼンテーションツールを利用することは当然どころか、むしろなくてはならないものである。
それは同分野とはいえ、専門外である聴講者に理解してもらうには、ビジュアルを使って自分の研究内容と成果をわかりやすく伝えることが必要だからである。
ところが、その視覚的な説明に必要なパワーポイントを使わないと聞いて驚いた。そのような発表を学会で行う研究者が文系にいるというのだ。プレゼンテーションツールはなくてはならないものだというのは、私の思い込みなのだろうか。
サントリー文化財団の「超えるのではなく辿る、二つの文化」でともにプロジェクトにかかわる、犯罪社会学の研究者の櫻井悟史・滋賀県立大学大学准教授によると、文系の学会では当日配布資料を使って口頭のみで発表を行い、聴講者はひたすら聞くことで内容を理解していくことも少なくないという。
パワーポイントを使うことがあるとすれば、それは発表に関連した資料や写真などを提示するためくらいであるとのことだった。発表内容の根拠となる資料は実在するということで、納得感を持たせているのかもしれない。
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