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経済学

値上げをすると売り上げが減る、でも利益は増えるカラクリとは?──「需要法則」からの接近(上)

2022年11月10日(木)07時59分
安田洋祐(大阪大学大学院経済学研究科教授)


一連の考察を通じて、値上げや値付けの潜在的なパワーを実感された方もいるのではないだろうか。ひょっとすると、日本経済がなかなかデフレの罠から抜け出せない理由の1つは、こうしたプライシングの重要性が理解されず、合理的な値付けが行われていないからかもしれない。

この仮説が正しいかどうかはさておき、需要法則という常識的な考え方を少し深掘りするだけで、〈教訓1〉のような汎用性の高いインプリケーションを導くことができる、というのは経済学の持つ大きな利点だと言えるだろう。

※第2回:価格を上げると需要は下がる。この需要法則はいつでも正しい法則なのか?─「需要法則」からの接近(中)に続く


安田洋祐(Yosuke Yasuda)
1980年生まれ。東京大学経済学部卒業。米国プリンストン大学で博士号取得。政策研究大学院大学助教授を経て、現職。専門はゲーム理論、マーケットデザイン、産業組織論。主な編著書に『学校選択制のデザイン──ゲーム理論アプローチ』(NTT出版)、『改訂版 経済学で出る数字──高校数学からきちんと攻める』(日本評論社)など。



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  『アステイオン 96
 特集「経済学の常識、世間の常識」
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  アステイオン編集委員会 編
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