最新記事

【2016米大統領選】最新現地リポート

<ニューハンプシャー州予備選>左右のポピュリストを勝たせた米政界への怒り

2016年2月10日(水)16時10分
冷泉彰彦(在米ジャーナリスト)

 共和党では、ルビオが沈んだ一方で、オハイオ州のケーシック知事が急浮上して注目されている。選挙戦当初から「トランプ氏は候補失格」だと、ブーイングを浴びても言い続けてきた気骨ある政治家だ。人情味あふれるアドリブのトークや、民主党から共和党に鞍替えした過去を持つ「逃げ隠れしない中道路線」などから、今回の選挙戦の中では異質の存在だったが、16%を獲得しての2位は、今後につながる大きな戦果だ。ニューハンプシャーの有権者の「琴線に触れた」のは事実だろう。

 その他、支持率の低下が続いていたジェブ・ブッシュが4位と息を吹き返すなど、アイオワとは構図が異なってきている。アイオワの直後は、「トランプ&クルーズ」のポピュリスト2名を、ルビオが「エスタブリッシュメント代表」として追う展開が予想されたが、現在はトランプの勢いが復活した一方で、ケーシック、ブッシュといった「プロ中のプロ」が盛り返して対抗する構図へと変化した。

【参考記事】サンダースを熱狂的に支持する若者たちは、民主主義を信じていない

 そうは言っても、トランプとサンダースという左右のポピュリストが大勝した事実は重い。ヒラリーの指摘にもあったように、ニューハンプシャーの有権者は、やはりワシントンの政界に対して明確な怒りを抱いている。そこには雇用不安と格差への怒りがあり、一部の富裕層やワシントンの政治家だけの利害で動いているように見えるアメリカ政治への不信がある。ヒラリー、そしてケーシック、ブッシュといった知事や知事経験者、そして上院議員であるルビオなどの「プロ」には、有権者の信頼を取り戻すための「問題解決の処方箋」が求められることになる。

ニューストピックス:【2016米大統領選】最新現地リポート

筆者・冷泉彰彦氏の連載コラム「プリンストン発 日本/アメリカ 新時代」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、中国四輪工場の生産再開を2週間延期 半導体

ワールド

中国外相「世界の裁判官」認めず、米国のマドゥロ氏拘

ワールド

北朝鮮、4日に極超音速ミサイル発射実験 米をけん制

ビジネス

午前の日経平均は大幅反発、海外・個人マネー流入の思
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中