それからの1年間、1つひとつ改善を進めました。改善したところは報告書に書きしるし、ファクスで区役所に送りました。やがて期限がきて、抜き打ち審査がおこなわれましたが、基準に合わないところが数多く見つかりました。たとえば耐震対策で、多くのものは転倒・落下しないように固定しなければなりませんでした。
また閉鎖を求められるのかと、興奮した私はいいました。「もうこんなに多くの改善をした。もっと改善が必要であれば時間をください。必ず基準通りに改善します。とにかく、子どもたちを見捨てることはできない。母親はみな中国人ですが、多くの父親は日本人で、離婚しただけなのです。だからシングルマザーが多いのです。この保育園がなければ、彼女たちは生活や仕事のしようがなく不幸になります。ママが不幸なら、子どもは幸せになれますか?」
私は、以前に育児ストレスで自殺を考えたことまで話しました。気持ちが高ぶっていたので、涙や鼻水まで流れ出しました。彼らも心を動かされたのかもしれません。最後のチャンスを与えてくれ、3カ月以内に全て改善するようにと応じてくれたのです。その後、さらに努力し設置基準の条項を1つひとつクリアして、3カ月後には全ての改善を完了。ついに基準に達し、認可保育施設になりました。
私たちの保育園は、スタートからママたちの「心配を取り除き、困難を解決する」ことを出発点としています。できるだけ必要とされる保育園を作っていく。多くのママが昼に子どもを預けて、夜には迎えに来たいと望んでいます。そこで保育園を新宿に1カ所、続いて池袋、板橋、埼玉の川口市と、現在は計4カ所で運営しています。預かっている子どもは合わせて250人以上、先生は48人になりました。
※ママたちの不安を知る、型破りな保育園経営者:第3回はこちら
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