最新記事

文学

チェコ語翻訳者が語る、村上春樹のグローバルな魅力

Translating Haruki Murakami in the World

印刷

――翻訳の難しさとは?

 谷崎潤一郎の『武州公秘話』を訳して出版社に持って行った際、「こんな難解な翻訳では困る。やり直してほしい」と言われた。作品の中の戦国時代の日本語の会話を、チェコ語でそのように訳しただけだったのだが......。

 谷崎の世界観を現代チェコ語で訳すのは本当に奇妙なことだと、担当編集者に何度も何度も説明したが、それを理解してもらうのは難しいと感じた。

 これも『アステイオン』に書いたが、「自分の経験そのものはそうした経験をしたことがない人には決して伝えられるものではない」ということを身を持って実感した。しかし、個々の作品の世界観を読者に知ってもらうために、翻訳者は日本の伝統芸能のいうところでの「黒子」に徹さなくてならない。

――今後について。

 現在、チェコ語に訳されている日本の作品はほんの一部にすぎない。いくつか日本文学の潮流があるが、そのなかでも内田百閒の作品は日本的な作品のひとつだと思っており、ぜひ翻訳したい。

 日本文学は三島由紀夫や川端康成や村上春樹だけでなく、もっと幅広く、奥深さがあるものだと、翻訳を通して伝えることが私の役目だと考えている。

asteion_082.jpg『アステイオン82』
特集「世界言語としての英語」

公益財団法人サントリー文化財団
アステイオン編集委員会 編

今、あなたにオススメ

最新ニュース

ワールド

ペルー大統領、フジモリ氏に恩赦 健康悪化理由に

2017.12.25

ビジネス

前場の日経平均は小反落、クリスマス休暇で動意薄

2017.12.25

ビジネス

正午のドルは113円前半、参加者少なく動意に乏しい

2017.12.25

ビジネス

中国、来年のM2伸び率目標を過去最低水準に設定へ=現地紙

2017.12.25

新着

ここまで来た AI医療

癌の早期発見で、医療AIが専門医に勝てる理由

2018.11.14
中東

それでも「アラブの春」は終わっていない

2018.11.14
日中関係

安倍首相、日中「三原則」発言のくい違いと中国側が公表した発言記録

2018.11.14
ページトップへ

本誌紹介 最新号

2024.11.26号(11/19発売)

特集:超解説 トランプ2.0

2024.11.26号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

アメリカ政治 異色の顔ぶれ満載のトランプ2.0を読む
■リスト 第2次政権のトンデモ閣僚人事、その人物像は
閣僚 問題児ゲーツを司法長官に、前代未聞の復讐劇が開幕
投資 トランプ当選に笑う業界、泣く業界
外交 片想い? 両想い? ディール外交の危険なプーチン愛
報道 大惨敗メディアに未来はあるか
ルポ 「眠れる有権者」のヒスパニックが目覚めた時
デジタル雑誌を購入
最新号の目次を見る
本誌紹介一覧へ

Recommended

MAGAZINE

特集:静かな戦争

2017-12・26号(12/19発売)

電磁パルス攻撃、音響兵器、細菌感染モスキート......。日常生活に入り込み壊滅的ダメージを与える見えない新兵器

  • 最新号の目次
  • 予約購読お申し込み
  • デジタル版

ニューストピックス

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム&ブログ
  • 最新ニュース