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──これはハントとラウダの物語だが、どちらかというとラウダ寄りの視線のように感じた。そのあたりのバランスはどう取ったのか。
僕としてはとにかく2人の男が互いに影響し合い、成長していく道のりを描きたかった。ラウダを取り巻くドラマはあまりに衝撃的だから鮮明な印象を残すし、人々の心を捉えるだろう。でも僕の意図は、ヒーローと悪役という描き方はしないこと。2人とも同じように複雑で、欠点だらけで、でも並外れた能力を持つ人間だ。
でも、あなたの直感も正しいよ。僕個人としては、ハントよりはラウダに共感を持った。
──生き方に共感を覚える?
彼のことは尊敬しているし、彼と僕は同じことを感じていたと思うんだ。「成功する」という野心を持っていたが、その目標は一夜にして実現できるものではなく、あらゆる場面で努力をするしかないということをよく分かっていた。
一方、ハントは生まれながらのチャンピオンで、彼のところには成功が自然にやってくる感じだ。アーティストの中には、努力なくして素晴らしい仕事をする天才肌の人がいる。彼らには感服させられるが、でも僕自身はそういうタイプではなかった。
僕はこれまでの仕事の中で、個々のプロセスを大切にし、観客を大切にしてきた。作品を準備する中で知りえたことと、作品の表現できる可能性の間に橋を掛け、それをさらに観客へ向けて1つ1つ橋を掛けてきた。それはすごく努力がいることなんだ。
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