──登場人物が着るボディスーツの光る部分をCGではなく本物にしたのはなぜか。
役者同士が近づくと、光が互いの顔や体に反射する。セットにも反射するので、後で加えるより自然に見える。一番分かりやすいのはサムとコラルが暗い廊下に立っているシーン。2人の顔を照らしていたのは互いのボディスーツの光だった。
バーチャルな世界を舞台にした映画を作る場合は、できるかぎりリアルさを出すことが重要。すべてCGで作るシーンでも、写真のように見えるようなビジュアルを目指してほしいとスタッフに要求した。
──あなたはこれまでビデオゲームも手がけてきたが、映画作りとはずいぶん違う?
そりゃ違うよ。ゲームの場合は、やる人が自分で進む方向を選べるような環境を作るが、映画は作り手がストーリーを語るためのものなんだ。
私が映画を見に行くのが好きなのは、物語をこう語りたいという監督の視点が伝わってくるから。ゲームの場合は自分で進む方向を探し出さなければいけないけど、映画は監督が意図した物語の流れに身を任せるのが面白い。だから、映画は決してゲームに取って代わられることはないと思う。
──3年近くこの作品にかかりきりで、よく疲れないね?
疲れ果ててるよ(笑)。でも数週間休みをとれば元通りさ。
──3D映画の今後の課題は?
今回のように全編を立体撮影する場合はカメラ2台で撮るから時間も金もかかる。巨大なカメラが2つもあるから進行も遅い。準備や努力も不可欠だし......。
──やっぱり相当疲れがたまっている気が(笑)。
確かに大変なプロセスだよ。でも『トロン』も『アバター』も、見る人を別世界へ連れて行くんだから、そこまでやる価値はある。