でも男性の受けは微妙
とはいえ、アクション満載の『トワイライト』がより多くの男性客を呼ぶという法則が見てとれるのは、映画チケット販売サイトの非公式データだけだ。そのデータによれば、男性客の数がわずかに上向いたという。
そうしたサイトの1つ、ファンダンゴ・ドット・コムによると、08年11月にシリーズ第1作『トワイライト〜初恋〜』が公開されたとき、オンラインで回答を寄せる人の96%が女性だったが、今月の『エクリプス』では92%に落ちている(09年11月公開の2作目『ニュームーン/トワイライト・サーガ』は93%だった)。
「プロデューサーがシリーズ3作目の監督として、『30デイズ・ナイト』『ハードキャンディー』などのタフな作品で知られるデビッド・スレイド監督を迎えた時点で、エッジの効いた『トワイライト』作品を目指したことは明らかだった」と、ファンダンゴの広報担当者ハリー・メドベドは言う。「ちまたでは『男でもこの映画を見られるんだ』という声が広がっている」
しかしだからといって、男性客が自発的に映画を見に行くわけではなく、あくまでも「プラス1」として映画館に足を運んでいるようだ。ファンダンゴのサイトによると、『エクリプス』を「デートで見たい映画」と考える人は、シリーズ前2作に比べて増加している。
同サイトによれば、デート相手を連れて映画館に行くつもりだと回答した人は、1作目ではたった11%、2作目では20%にとどまった。だが『エクリプス』ファン1000人への調査によると、今作品ではチケット購入者の28%がデートで見に行くと回答しているという(製作のサミットエンターテインメント社は、この件についてコメントしていない)。
今回の『エクリプス』で、『トワイライト』シリーズはどこまで男性好みのアクション作品への道を進もうとしているのだろうか(以下、ネタばれ注意)。
バンパイアvsオオカミ族
シリーズ全5作品のうちの第3作目に当たるこの作品は、前2作より明らかに鋭くてバトルものの色合いが濃い。映画は冒頭から若い男性が細い路地で襲われるシーンで始まり、後にバンパイアとオオカミ族との全面戦争へとつながる伏線がそこかしこに張られている。
映画『ダークナイト』に登場するジョーカーとその一味にも似た新種のバンパイアのテロ集団や、彼らの暴力シーンは(例えば子供2人が殺害される場面もある)、前2作品より衝撃的でリアルだ。
それでも、ロマンスがまったくない、というわけではない。美しい花々が咲き乱れる草地や2人がそっと交わすキスシーン、結婚の約束でベラに差し出されるアンティークのダイヤの指輪だって映画を彩っている。
かなり際どい愛撫の途中で、ふいとわれに返ったエドワードが、結婚まで待ったほうがいいだろうとスラスラと貞節の大切さを語る仰々しいシーンもある。そんな過ちを犯すよりも、ポーチでアイスティーを飲むほうがいいとまで言う。
すべてがアクション、というわけでもなさそうだ。
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