4.アカデミー賞が人気を加速させる。
例年、アカデミー賞の発表が近づくにつれて映画関係の話題が盛り上がる。今年は2月2日にノミネート作品が発表され、3月7日に授賞式が行われるが、『アバター』のノミネートは確実だろう。
昨年、最優秀作品賞の候補となった5作品のうち3作品はノミネート後の週末に、国内一館あたりの興行収入を伸ばしている。『スラムドッグ$ミリオネア』は作品賞受賞後の週末に、国内一館あたりの興行収入を急増させた。『アバター』がアカデミー賞のお墨付きを得たら、それまで躊躇していた人を映画館に呼び込み、リピーターも増やすかもしれない。
5.世界市場で絶好調。
『タイタニック』は興行収入の3分の2をアメリカ国外で稼ぎ出したが、『アバター』も同じだ(『ダークナイト』の興行収入の場合、北米とそれ以外がほぼ半々だった)。『アバター』は世界106の市場で公開し、そのすべてにおいて第1位を獲得している。
専門家によると、97、98年に『タイタニック』がほどほどの人気で終わったロシアのような市場でも、『アバター』は熱狂的な歓迎を受けている。ロシアでは映画館の数も映画ファンの数も過去最高となっているが、こうした変化も追い風となって『アバター』は世界各地で興行成績の記録を塗り替えている。
6.3D上映のチケット価格がプラスに。
バラエティー紙によると、3D映画の興行収入は09年に13億ドル(08年の3倍)に達し、09年公開作品の総興行収入の10%以上を占めた。3D上映のチケットは通常より高く(ほとんどの市場で平均2〜3ドル上乗せ)、これが『アバター』の興行収入に貢献するのは間違いないだろう。
以上の6つは、興行成績歴代1位獲得(の見込み)という『アバター』の偉業にケチを付けるものではない。「この映画が素晴らしいのは、既存のものに一切頼っていないところだ」と、ボックスオフィス・モジョのグレイは言う。筋書きやテーマはさまざまな映画から派生したものかもしれない。しかし過去のヒット作と違い、先行する拠り所があるわけではない。
歴史的事件に基づいた『タイタニック』、映画シリーズとして定着している『スター・ウォーズ』、有名文学作品が原作の『ロード・オブ・ザ・リング』----これらの作品よりハードルが高かっただけに、『アバター』の巻き起こした旋風はいっそう見事に思える。
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