100年前の1920年(大正9年)、ジャーナリスト三宅雪嶺は主宰する雑誌『日本及日本人』で「百年後の日本」を特集した。学者、教育者、政治家、文学者、ジャーナリスト、官僚、軍人、労働運動家、宗教関係者など300人を超す人々が原稿を寄せ、100年後の日本について論じた。『日本及日本人』から100年後の今、改めて100年後を予測することで、現在を生きる我々が未来を創る活力の糧としたい。
目次
【特集】
- 巻頭言田所昌幸
- 可能性としての今――先人たちの予測した2020年の日本田所昌幸
- 可能性としての過去――ヴェルサイユ条約100年論争史大久保明
- 皇室は世界の安寧のために君塚直隆
- 生存、安全から幸福、歓待へ松森奈津子
- 1000年前から見たら熊倉功夫
- それでも私たちは愚直に未来を予測し続ける渡辺 靖
- ぜいたくは敵だから、結婚しませんトイアンナ
- 折り畳み百年福嶋亮大
- 存続意義を失う地方都市江頭 進
- 名探偵コナンはまだ続いているデイヴィッド・A・ウェルチ
- 高まる魂の経験値辛酸なめ子
- 人間の本性と歴史の生地は変わらず袴田茂樹
- それでも民主主義は「ほどよい」制度だろう待鳥聡史
- 希望、だって(笑)。玄田有史
- どの「日本」が生き残っているのか飯尾 潤
- 鴨川のほとりにて阿川尚之
- 座る身体のゆくえ沖本幸子
- 予測とは観察のことだ 猪口 孝
- 「今を生きる」の意味宮野公樹
- 保守の支配するリベラルな国前田健太郎
- 自発性が強制されない時代になればいいが武田 徹
- 30年後くらいならともかく中西輝政
- 肌色復古主義と真正涙論争林 晟一
- 文明の出直し・月面の日本基地より張 競
- 借りモノとしての衣服小形道正
- ミソジニーを超えた文化へ池上裕子
- 日本語表記がローマ字になっている佐藤卓己
- 強烈な個性が跳躍する世界での日本らしさ岩間陽子
- 企業社会からPR社会へ?河 炅珍
- 乱立する価値観共同体は共存できるか隠岐さや香
- 人口小国として生きる上野千鶴子
- 「イメージ」と化す芸術三浦 篤
- 森林があれば牡蠣は育ち続ける畠山重篤
- 袖ふれあうそれぞれの暦牧原 出
- 一寸法師計画藤森照信
- 日本発の新たな哲学安西祐一郎
- したたかに生き延びる神社宮武実知子
- やはり「人」は不確実性の下で生きている白石 隆
- 昆虫化日本 越冬始末五百旗頭薫
- 西太平洋連邦を目指して北岡伸一
- 過去から見る住宅の未来本田晃子
- X氏との対話細谷雄一
- 本は絶滅しない田尻久子
- グローバル化のもとでの分断と連帯前田亮介
- 百分の一秒後の未来奥本大三郎
- 「思想」は生き残れるか苅部 直
- 歴史を語る快楽はまだまだ続く山崎正和
- ハイテク・プラス・「昭和」の日本を夢見て酒井隆史
- 美味しさの本質は不変だ鳥井信吾
- いまと変らない世界川本三郎
- 人生観、終末観の変化佐伯順子
- 悠久の都道府県?砂原庸介
- 百年後とは長過ぎる高階秀爾
- けだるい生・死権力のゆくえ遠藤 乾
- トランプの末裔に翻弄される日本久保文明
- 孫どもへの期待芳賀 徹
- 「東京時代」は「近代」になる宮本又郎
- 不機嫌な人間ロボットで一杯になる猪木武徳
- 人恋しい国? 鷲田清一
- 昔、日本は「借金大国」だった土居丈朗
- 100年という「無」青木 保
- 「何が変わらないか」から考える苅谷剛彦
- 百年後にも百年後は問われるだろうか?三浦雅士
- 世界の常識に抵抗する日本・希望をもって占うシルヴィオ・ヴィータ
- 世界が存在する偶然を小川さやか
- 100年後に記された「長い21世紀」の歴史池内 恵
【地域は舞台】
- 住民による住民のための浜松まつり(静岡県浜松市)東 浩紀
【座談会】
- グローバルな問題への適応をめぐってデイヴィッド・A・ウェルチ
+ジョナサン・ラウシュ
+久保文明+ビル・エモット
+田所昌幸
【連載】
- 夢を種蒔く人・厨川白村――鉄は熱いうちに打て 三高で過ごした日張 競
- 平成史――大災害頻発の時代(上)五百旗頭真
- 世界史の変容・序説――「まなざし」の起源三浦雅士