また、若手の起用についても小川さやか先生に座談会「『専門知』を『臨床知』で乗り越える」でご助言を頂き、山本昭宏先生からも「面白さも正確さも諦めない──アカデミック・ジャーナリズムの可能性」で若手の書く場所とそれを発掘する編集者の力量に関するご指摘があった。
執筆者の若返りは本誌編集委員会もこの10年で意識してきたが、編集部も今後はより積極的に関与できるようになると考えている。それが年末12月にスタートさせた、この「WEBアステイオン」だ。
これは年2回刊行の本誌『アステイオン』を補完し、媒体の認知度をアップさせる目的で始めた。更新しやすく挑戦しやすいというウェブの利点を活かし、若手の書き手を積極的に起用することはすでに決めており、現在、書評エッセイを手始めに準備中である。
東浩紀氏は「数と独立──棲み分ける批評Ⅲ」で「数が生み出す影響力よりも、それが強いる不自由のほうが気にかかるようになってしまった」と指摘されたが、「数(読者)」という意味では、東氏の切実な悩みが少し羨ましくもある。
しかし、この10年、本誌編集委員会による尽力と企画内容の充実で読者は少しずつ増加し、特集によっては完売するものも出てきている。
もともと『アステイオン』の読者が「大衆(マス)」とは思っていないが、それでも潜在的な読者はまだいるだろうと確信している。質を追求すれば、数(読者数)もついてくることを信じて、その読者たちに届けるべく、「WEBアステイオン」を有効活用していくつもりだ。
実はこの95号からは、三角形と円(地球)との組み合わせで、世界とのつながりや多様性を表す「アステイオン」のワンポイントロゴ(上図)を新しく作成し、背表紙などに使用している。先に述べたジェンダー、年齢・世代、読者数のみならず、所属(アカデミズム/ジャーナリズム)や国籍なども含め、今まで以上に多様性を幅広くとらえ直していきたいと思っている。
ぜひ、これからの『アステイオン』にご注目いただくとともに、たくさんのご意見を頂戴できると幸いである。
(※1)創刊号からのバックナンバーの目次をすべてテキスト化したので、お時間があるときにぜひご覧ください。
『アステイオン95』
特集「アカデミック・ジャーナリズム」
公益財団法人サントリー文化財団
アステイオン編集委員会 編
CCCメディアハウス
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)
vol.101
毎年春・秋発行絶賛発売中
絶賛発売中