タリバンとパキスタンがまさかの「仲間割れ」、現地の勢力図に大きな変化が

2022年1月13日(木)11時18分
マイケル・クーゲルマン(ウッドロー・ウィルソン国際研究センター上級研究員)

消息筋によれば、パキスタン政府はフェンス設置へのタリバンの理解を得つつ、越境往来を増やせるような譲歩をするつもりだという。だが、その程度でタリバンの不満は収まるまい。

それでもパキスタンに対するタリバンの経済的・外交的依存の大きさを考えれば、彼らもこれ以上の関係悪化は避けたいだろう。

パキスタン側にも、早期の事態収拾を図りたい事情がある。タリバンとの緊張が高まれば、最近パキスタン国内でテロ活動を活発化させているテロ組織パキスタン・タリバン運動(TTP)への対処が難しくなるからだ。

タリバンの仲介で、アフガニスタンを拠点とするTTPとパキスタンは昨年11月に停戦1カ月の休戦協定を結んだが、TTPはその延長を拒んでいる。交渉再開にはタリバンの協力が不可欠だ。ただしタリバンも、TTPには強く出られない。国内のTTP基地へのパキスタン軍の攻撃を黙認するという選択肢もない。

パキスタンとタリバンの関係は持ちつ持たれつだ。しかし今のタリバンは、かつてのようにパキスタンの言いなりではない。

From Foreign Policy Magazine

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