香港よ、変わり果てたあなたを憂いて
1面は「私たちはリンゴ(日報)を支持する」という見出しで、同社前で別れを惜しむ読者らの写真が掲載された。別冊では、中国取材班が中国警察の妨害を受けながらも、ノーベル平和賞受賞者・劉暁波(リウ・シアオポー)への取材を続けた経験などを伝えた。
クラウドで蘋果日報を「保存」
この日以降は、同紙ウェブサイトの記事も閲覧できなくなる。香港の人々はクラウドのグーグルドライブを使い、PDFファイルにまとめ、重要な記事を保存しシェアしていった。26年に及ぶ蘋果日報記者たちの真実を伝えようという努力が、数々のスクープや歴史的な記録が全てなかったことにされるなんて、受け入れられるはずがない。香港人が確かに歩んできた歴史のページを、全て真っ黒にされてたまるものか。そんな気概が伝わってくる。
どのような時でも、香港の人たちは自由かつ豊かな表現で、自らの感情や考えを表してきた。私も表現することを諦めない香港の人たちと共に、彼らが表現し続けるためのプラットフォームを私の本を出した出版社のウェブサイトに開設した。
第1回目に翻訳者の「エスター」が寄せてくれた言葉を、大学の授業で学生たちに紹介していて、思わず涙が出てしまった。彼女は言う。「私にとって、このプロジェクトに関わることは、罪の償いの一種なのです」と。
狭い香港では、友だちの友だちが容易につながっていく。エスターの友だちの友だちが裁判にかけられ、または海外に亡命し、または実刑に服している。彼女にとって、遠い存在ではない彼らは、最前線に立って戦った。彼らと同じように、生まれ育った香港に深い感情を持つのに、自分は全力で戦わず、刑務所の外の空気を吸っているのだ、と。
習近平総書記、あなたは、カラフルで、雑多で、ダイナミックだった香港の社会から、色も、音も、動きも奪ってしまうのですか。「中華民族の偉大な復興」のために。
(筆者は香港大学で博士号取得。著書に『香港 あなたはどこへ向かうのか』〔出版舎ジグ〕がある)
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