ラッド元豪首相の警告「習近平は毛沢東になりたがっており、しかもアメリカを甘く見ている」──米外交誌
2021年2月17日(水)19時11分
アメリカと中国両政府の最近の発言からすると、中国が戦術としてアメリカとの緊張関係を緩和しようとしても、バイデン政権が世界の2大経済大国間の戦略的競争を減速させる可能性は低いことが明らかだ、とラッドは見る。
「アメリカが衰退に向かい、復活の目はないという中国政府の評価が間違っていることをバイデンは証明するつもりだ」
ラッドは結論として、アメリカと中国が「管理された戦略競争」の枠組みを策定することを求めた。それは現在の情勢では難しいが不可能ではない、と彼は言う。
このような合意は「世界秩序に対するきわめて現実主義的な方法」といえるが、米中両政府の最高レベルでの同意を必要とするだろう、とラッドは述べた。
そのためには、双方が譲れない線を主張しつつも、ある程度の譲歩は認めるとこになる。たとえばアメリカ政府は中国政府の「一つの中国」の立場を厳密に順守し、台北への外交的訪問を止めるべきだと示唆した。
その見返りとして、中国政府は台湾海峡における軍事活動を減らし、南シナ海の島々の軍事拠点化を中止すべきだ。そうすればアメリカの「航行の自由作戦」も縮小する可能性がある、と述べた。
紛争回避の賭け
多くの人はこのような取り決めの実現可能性を疑うかもしれないが、それは紛争や戦争を防ぐために必要なことだと、ラッドは言う。
「このような枠組みを構築するのは難しいが、それはまだ可能であり、これに代わる案は最悪の結果を招く可能性がある」と、彼は書いた。「まったくルールがないよりは、両国が管理された競争という共同の枠組みの中で活動する方がよい」
2030年までに台湾海峡での軍事衝突が起きなければ,それは成功を期待できる兆候になるだろう、とラッドは予想する。その反対であれば、「失敗したアプローチの最も明らかな例」となる。
- 前のページ
- 3/3