新型コロナワクチン、モデルナ製とファイザー製をどう使い分ける?

2020年11月19日(木)16時30分
カシュミラ・ガンダー

一部の州・市当局や大病院は、どうにか予算を捻出して、超低温冷凍庫の導入を急ごうとしているが、現状の生産体制ではメーカー側は急増する注文に応じられそうにない。納期はかなり先になるとみられ、それまでの保管方法については今のところ解決策はないと、フェアリー・ディキンソン大学のジュリー・カラバリクホガンソン准教授(専門は薬学)は本誌に明かした。

こうした事情があるため、ファイザーのワクチンは都市部に配布されるにとどまり、地方ではモデルナのワクチンが投与されることになるだろうと、ナガルカッティはみる。

モデルナのもう1つの利点は、病院やクリニックで希釈など特殊な処理をする必要がないことだと、カラバリクホガンソンは言う。「薬局やクリニックでも比較的簡単に投与できる」

ワクチンの普及についてファイザーの広報部門にコメントを求めると、病院などでの保管にはさまざまなオプションがあるので、「インフラがどうあれ、あらゆる地域で公平に入手できるはずだ」との回答が返ってきた。

いずれにせよワクチンの配布は手間取りそうだ。その大きな理由として、ドナルド・トランプ大統領がいまだに大統領選での敗北を認めていないことがある。このままではジョー・バイデン率いる次期政権チームへの引き継ぎ作業はスムーズに進みそうもない。

「ワクチンの導入と政権移行がこれほどまずいタイミングで重なったのは前代未聞だろう」と、ナガルカッティは言う。「円滑に職務が引き継がれ、配布が実施されるよう、現政権がバイデン・チームに協力することが不可欠だ」

当面は基本的な感染対策を

ジョンズ・ホプキンズ大のウィリアム・モス教授(専門は疫学)は、超低温の冷凍庫に加え、注射針や注射器も品薄になり、各州当局の間で奪い合いになることが予想されると、本誌に語った。「だからこそ、連邦政府が強力な対応が必要だ」

モスによれば、ワクチンが認可されても接種までにはいくつものハードルがあるため、当面はマスクの着用、社会的距離の確保、こまめな手洗い、大勢の集まりを避けるなど基本的な感染対策を続ける必要がある。

「人口のかなりの割合にワクチンが接種され、発病だけでなく、感染も防げることが確認されるまで」油断は禁物だと、モスは言う。

「それには何カ月か、ひょっとするとそれ以上待たねばならない」

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