台湾世論「トランプの方がバイデンよりマシ」な理由とは?
<バイデンは中国に弱腰の印象だからいや、しかし米国からの武器購入も支持できない複雑な情勢>
台湾市民は米大統領選についてどのような考えを持っているのか。9月に実施された世論調査では、回答者の60%近くがドナルド・トランプ現大統領を「信用できない」と回答。だが一方で、民主党のジョー・バイデン候補が勝利するよりもトランプが再選された方が、台湾にとっては利益になると考えていることが分かった。
どちらの候補が勝利するかの予想でも、台湾市民が軍配を上げたのはトランプの方だった。トランプ勝利を予想した人は全体の49.1%。これに対して、バイデンが勝利しトランプの再選を阻むと予想した人はわずか23.7%だった。
台湾のニュースサイト「フォルモサ(Formosa)」と総合誌「遠見雑誌」が9月に実施したこの世論調査は、主に蔡英文総統による米国産牛肉・豚肉の輸入規制緩和計画に重点を置いた内容だったが、中台間の緊張に関する質問も含まれていた。
フォルモサは9月23日から24日にかけて、20歳(台湾の選挙権年齢)以上の1070人を対象に、コンピューターシステムを利用した電話調査を実施。遠見雑誌も同じ調査方法を用いて、9月17日から20日にかけて1102人を対象に調査を実施した。
武器購入「支持」は4割以下
遠見雑誌の調査では、台湾と中国の間で全面戦争が勃発した場合でも、アメリカによる介入を期待すると回答した人は22.3%のみ。過半数の54.2%が、中国政府との和平交渉の道を選んだ。
20~29歳の回答者では、半数以上が蔡政権によるアメリカからの武器購入を支持すると表明。だが回答者全体では、台湾がアメリカから購入した武器で軍備強化を行う必要があると考えている人は39.1%にとどまり、51.6%の回答者は、その資金をインフラ整備に回した方が有益だという考えだった。
国防費に関する回答がどっちつかずだった一方で、台湾海峡で軍事衝突が勃発した場合については、アメリカが台湾を支援してくれると予想している人が回答者の57.7%、日本が支援してくれると予想している人が45.9%にのぼったと遠見雑誌は報告している。
フォルモサの調査では、トランプ米大統領を信用している台湾市民が25.2%しかいないという結果が示された。回答者の59.2%が「トランプは信用できない」と回答。「わからない」と答えた人は15.5%だった。
トランプの信用度を疑う傾向がある一方で、遠見雑誌の調査では、トランプの再選は台湾の利益になると考えている人が回答者の53%にのぼった。一方でバイデンが大統領になった方が台湾にとって都合がいいと回答した人は、回答者のわずか16.4%だった。
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