新型コロナと芸術支援──継続、再開の先にあるアートの可能性を信じて

2020年6月12日(金)11時45分
吉本 光宏(ニッセイ基礎研究所)

歴史学者のハラリは、「私たちの目の前には、自国を優先し各国との協力を阻む道を歩むか、グローバルに結束するのかという2つの選択肢がある」*1と警鐘を鳴らす。

分断か連帯か──。それが問われる歴史的な転換点にアーティストはどう向き合うべきか。芸術活動が再スタートした先に、新型コロナウィルス後の社会のありようを深く問いかける作品、私たちに従来の価値観からの転換を迫るような表現が、必ずやアートの現場から生まれてくると信じたい。

GBFundの支援対象に、「新型コロナウィルス感染症によって損失を受けた団体・個人」だけでなく、「新型コロナウィルス感染症により芸術文化活動が停滞する社会を平常化・活性化する目的で行われる芸術文化活動」が含まれているのはそのためだ。

まさしく、社会の未来を見据えた芸術への長期的な支援、投資が求められている。

※新型コロナ感染症の拡大を原因とした芸術文化の損失や今後の再開に向けた支援については、国や地方公共団体も様々な対応策を打ち出しているが、本稿では民間の動きに限定した。

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*1 ユヴァル・ノア・ハラリ「全体主義的監視か市民の権利か」(日本経済新聞、2020年3月31日)

[執筆者]
吉本 光宏
ニッセイ基礎研究所
社会研究部 研究理事

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