失われた20年に「起きなかったこと」に驚く──平成は日本を鍛え上げた時代

2019年2月22日(金)11時50分
ピーター・タスカ(経済評論家)

平成最後の10 年間にその成果が出た。2011年3月の東日本大震災――地震、津波、原子力発電所事故の三重災害の中で普通の人々が見せた反応は、日本の社会資本、すなわち人々のネットワークの底力を世界に見せつけた。

過去6年、1人当たりのGDPの伸び率は先進国の平均を上回っている。経済規模ではアメリカと中国にかなわないが、独創性と勤勉さ、健全な競争が生活水準の向上を保証するだろう。今の日本は環太平洋諸国の貿易協定TPPの要であり、高齢化への挑戦で世界をリードする存在だ。

30年前と比べ、日本は不確かな未来にはるかにうまく立ち向かえる国になっている。今年始まるまだ名前のない新しい時代は、気休めの神話ではなく、困難な現実をしっかり見つめて進む時代になるだろう。

<「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」掲載>

「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」書き下ろしコラム
長岡義博:平成は日本人に「無常」を教えた──バブル崩壊から原発事故、そして次の「非常識」
コリン・ジョイス:国技館で天皇を見た、平成は立派で前向きな時代だった
デーナ・ルイス:平成の日本:「新しい不平等」の受け入れと、無関心の仮面の下に見たもの
ビル・パウエル:去りゆく象徴、善良なる男性、平成日本の「普通の天皇」

※詳しくは「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」をご覧ください。

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