苦境の韓国企業にようやく光明? 電気自動車用電池で中国規制に変化

2019年1月6日(日)13時50分

新たな推奨リスト

韓国企業が投資計画を急ぐきっかけとなったのは、中国がEVやプラグインハイブリッド車に対する補助金を2020年までに段階的に廃止すると約束したことに加え、2つの自動車業界団体が認証済みのバッテリー製造企業について新たな「推奨リスト」を5月に発表したことがある。

新しいリストにはLG化学やサムスンSDI、それにSKイノベーションと中国の北京汽車集団(BAIC)グループによる合弁企業が含まれていた。これは、2015年11に発表された推奨リストに外国企業が含まれていなかった反動という含みもあると考えられている。

「新たな推奨リストを作る際の基本原則として、国産製品に自信を持てるようになったのだから、市場を開放すべき時期だと考えた」。今回のリスト取りまとめを支援した専門家の1人は、匿名を条件にそう語った。

今後のリスト改訂においては、米EV大手テスラ の新車種に独占的にバッテリーを供給するパナソニックも加えられる可能性があるとこの専門家は語る。パナソニック側も、テスラが上海工場の建設を準備していることを背景に、リスト入りの許可を求める予定だと語った。

とはいえ、この推奨リストは補助金との関連はなく、これだけでは、中国での販売拡大を急ぐ十分な契機とは言えないだろう。

北京を拠点とするLG化学関係者によれば、中国の自動車メーカーは、まだ態度を決めかねているという。前回発表されたリストの発信元であり新車の承認権限を有する中国工業情報化省(MIIT)に対して、今回のリストがどの程度の影響力を持つかが読み切れないからだ。

こうした理由から、LG化学はまだ中国自動車メーカーに対するバッテリーの販売を開始していない、とこの関係者は語った。

失敗の痛手

韓国メーカーは、これまでの経験に基づく慎重姿勢が過度な希望を抑えているものの、中国EV市場の急速な拡大によって、自社製品に対する十分な需要が生まれることを期待している。

LG化学、サムスンSDIとも、中国に同社最初のEV用バッテリー製造工場を開設したのは2015年10月だ。どちらも、数億ドル規模の投資は回収できるものだと当て込んでいた。

たとえば、サッカー場3面分の広さを持つLG化学の南京工場は、中韓両国政府の当局者が参列する中で、華々しいオープニングを飾った。バッテリー製造企業として世界首位を狙うと同社は豪語していた。

だがその翌月、MIITによる推奨リストが発表され、主に韓国企業が生産していた種類のバス向けバッテリーに対する補助金が2016年1月に中止された。

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