管理職が多すぎる! 変わる日本企業の人事制度が意味するもの

2020年3月26日(木)16時59分
加谷珪一

役職定年は、管理職社員が一定の年齢に達した段階で、上級管理職に就いていない場合、自動的に管理職から外すという措置である。この制度を導入すれば、一定割合の役職者が毎年、自動的に非役職者にシフトしていくので、必然的に管理職比率も下がる。

日本は今後、さらに人口減少が進むので、企業は若い世代の人材について、従来と同じ人数を採用できなくなる。これまで管理職だった人を非管理職の仕事に戻さなければ組織全体のバランスが取れなくなってしまうので、管理職比率の低下は今後、さらに加速していくと推定される。

社内から急速に管理職が消えていく現実を考えた場合、ビジネスパーソンのキャリアパスも再考が必要となるだろう。

これからの時代は、生涯、現場で活躍するタイプの人材と、管理職として昇進を重ねるごく一部の人材に二極化していく可能性が高い。つまり職務に対して賃金が支払われる、いわゆるジョブ型の雇用形態にシフトするということで、ガラパゴスだった日本の企業組織も諸外国に近い形態に近づくことを意味する。

当然ながら両者に求められるスキルや能力は異なるので、自身がどのようなキャリアを構築していくのか、受け身ではなく、主体的に決断する必要が出てくるだろう。

<本誌2020年3月24日号掲載>

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