創刊100号を迎えた『アステイオン』。この38年でメディアと社会はどう変容してきたか。アカデミズムとジャーナリズムをつなぐ「知的ジャーナリズム」の果たしてきたことと役割、そして洗練され開かれた「言論のアリーナ」としての挑戦について50名を超える執筆陣が論じる。
目次
【特集】I『アステイオン』の38年
- アステイオンの「哲学」鷲田清一
- 「都会らしさ」の来歴と今後苅部 直
- 自由な知的ジャーナリズムの探求河合香織
- 文明の鳥、都市の犬林 晟一
- 正しい学際知と世界知にむけて佐伯順子
- 『昼の星』文化の根源をもとめて赤澤真理
- 「子規の食卓」のころ長谷川 櫂
- 学芸は、分断の時代をいかに繋ぎ直すか今橋映子
- 論壇誌という『場』米田亮太
- 「ビールを一緒に飲みたい」と思われるメディア三辺直太
- 知的感興のための技術(アート) 山本昭宏
- 夕方の庭のような雑誌福嶋亮大
【特集】II 知的ジャーナリズムの挑戦
- 紙媒体で生まれる言論の未来猪木武徳
- IJ(知的ジャーナリズム)を支える三つの条件玄田有史
- 知的ジャーナリズムと現代美術池上裕子
- 言語化と「ノイズ」新居洋子
- 再び、アカデミック・ジャーナリズムについて渡辺一史
- 臨床知でテクノロジーを飼いならす小川さやか
- 空から降る一億の石トイアンナ
- "『アステイオン』を抱えて歩くとカッコイイ"時代は来るのか?大尾侑子
- 八七年生まれの経済学者の目から山﨑潤一
- アメリカか、それ以外か桂 星子
【特集】III 我々の論じてきたこと
- 崩れゆく文明と知識人の役割佐伯啓思
- 国家と文明を語ること五野井郁夫
- 民主主義ための「公論」の場宇野重規
- 「改革」の時代と政治学久米郁男
- 大きな物語と小さな終末論山口 航
- 「文明を輸出するとき」再考伊丹敬之
- 日本製品とアメリカ論の全盛期から現代中国を見る岩間一弘
- 三十八年前の社会と自分、あるいは後知恵の記池澤夏樹
- ジャーナリズムでウラガエシテ伝える藤森照信
- 成熟社会の都市、地域、国土陣内秀信
- 『大正幻影』に始まる川本三郎
- デオドラントが進む東京森まゆみ
- 演劇的絶滅危惧種のこと大笹吉雄
- 物流倉庫のバイトのあとに『柔らかい個人主義の誕生』を読む綿野恵太
【特集】IV 変容する世界の中で
- アメリカの世紀、父のスタイル鵜戸 聡
- 時代の課題に応える三浦雅士
- 人類の当事者として奈倉有里
- 外圧と未来目黒依子
- MRSDH+を知ろう陳 天璽
- アメリカの理想と現実大貫恵美子
- グローバリゼーションの顛末青木冨貴子
- 終わらない歴史を生きる覚悟吉岡桂子
- 空白を埋めるのは誰か?金成隆一
- 覇権国の政治的劣化マルガリータ・エステベス・アベ
- ダニエル・ベル先生とアメリカの大学彦谷貴子
- アメリカという永遠の難問三牧聖子
- 時代を透徹する洞察細谷雄一
【特集座談会】
- 一九八六年から振り返る──サントリーホールと『アステイオン』の時代片山杜秀+三浦雅士+田所昌幸
【写真で読む研究レポート】
- デジタル時代に紙の雑誌を作り続けるということ──『アステイオン』初代デザイナー荒田秀也氏インタビュー小林 薫
【連載】
- 今みなおす江南史──命を拼(か)ける内陸岡本隆司
- 昆虫学事始──日本の昆虫研究を支えた人々奥本大三郎