コラム

日本では有名人は「神様」なのか?...ミーハーな行動「一緒に写真を撮ってもいいですか」がジョージアでは通じなかった歴史的背景

2025年01月09日(木)15時10分
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
自撮り

wilkernet-pixabay

<今や天皇陛下ご一家もインスタを利用されるなど有名人は身近な存在になったが、ジョージアでは「有名人」の概念がない?>

私にとっては、テレビに出るような有名人は自分とは異なる世界にいる、雲の上の存在であり、神格化すらされる存在であり続けてきた。茨城県に住んでいたこともあり、芸能人を街で見かけることもほとんどなかった。

そのため、バラエティー番組を見た翌日には、好きな芸能人やスポーツ選手について学校で友達と盛り上がることは普通だった。東京に遊びに行った友人が、たまたま芸能人を見かけて「すごいオーラだった」と話してくれるなど、盛り上がったものだ。

よく覚えているのは、中学時代の友人が高校卒業後にプロ野球の球団入りが決まり、街中がその話題で持ち切りだったことだ。自分のことのようにうれしく、彼を誇らしく思ったのと同時に、これからは私たちとは別世界の人間として遠い存在になってしまう悲しさを覚えたことを今でも思い出す。


この、自分の知る人が遠い存在になるという「哀愁」のような感覚は、実生活であれ、映画や小説であれ、誰もが共感できるのではないだろうか。

しかし、この感覚をつくり上げているのは、社会にあるのではないかとも思っている。というのも、ジョージアでは有名人に対する捉え方が全く違うからだ。

かつて、昔からよく見ていたジョージアのドラマの主人公と街中でバッタリと会ったことがある。一緒にいる友達にこっそりと「あの人って、テレビによく出る人だよね?」と尋ねると、「ああ、あいつはそうだよ。よくこの辺で散歩している。友達のいとこだよ」という至って普通の返答だった。

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