最新記事

丸ごと1冊 プーチン

「プーチン大統領の初体験はいつ?」 珍質問に笑わぬ皇帝もニヤリ

2018年4月4日(水)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部

RIA NOVOSTI/KREMLIN/REUTERS

<支持率7割を超える圧勝で通算4期目の大統領職に就くことが決まったプーチン。旧ソ連のスターリン政権以来の長期となる絶大な権力を手にしながらも、皇帝の心中は穏やかでない? 長年にわたる徹底取材があぶりだした、笑わぬ皇帝の真の姿は意外なものが多い...――本誌SPECIAL ISSUEムック「丸ごと1冊 プーチン」より>

ロシア人でも外国人でもプーチンに直接、聞きたいことを質問できる。そんな機会が年に一度、訪れる。電話やメール、映像の生中継、スタジオの観客などから寄せられた100万通以上の質問の一部に、プーチンが4時間にわたって答えるテレビ番組「プーチンと直接対話」だ。国営放送などを通じ、国民だけでなく世界中から注目されるこの番組では、政治や外交のほか大統領のプライベートや、人生観に関わる内容の質問へのプーチンの回答を聞くこともできる。過去の放送の中から、名場面の一部を紹介しよう。

ウクライナの裏切り者

ウクライナの親ロ的なビクトル・ヤヌコビッチ政権が、親EU的な市民運動に倒されたのは14年。同年の「直接対話」では、この事件に関する質問が多く寄せられた。市民の鎮圧に当たった特殊部隊の隊員は、市民への厳しい取り締まりを認めなかったヤヌコビッチについて「これまでも、あんなに腰抜けの裏切り者だったのか」とプーチンに質問。プーチンは質問者を「正直で、プロフェッショナルで、尊敬に値する」と称賛しながら、次のように続けた。

「(ヤヌコビッチの立場からすれば)自らの手で、自らの市民への暴力を認める命令に
サインできなかったのだろう」
(ただし、実際には警察部隊による親EU派市民への暴力は数多く確認されている)

アラスカを取り戻せ

海底資源が眠る北極の領有権を主張するプーチンの姿勢はアメリカの悩みの種になってきたが、1867年にロシアからアメリカに売却されたアラスカについては、奪還の動きを心配する必要はなさそうだ。同地が再びロシアの一部になる可能性について質問されたプーチンは次のように答えた。

「なぜアラスカが必要なんだい?」
「わが国の約70%は北極圏を取り囲んでいる。悩む必要などないだろう?」

後継者は誰だ

翌年に大統領選を控えた2017年の番組では、後継者の話題も出た。既に後継者を選んでいるのか聞かれると、明言を避けて次のように答えた。

「まず、私はまだ現役だ」
「次に、それを決めるのは国民だ」

夫とペット

「ホットライン」で取り上げられるのは、きなくさい話ばかりではない。あるロシア人女性は、夫婦喧嘩について相談した。どんなにお願いしても軍人である夫ボリスが犬を買ってくれないので、軍の最高司令官から何か言ってもらえないか、というのだ。プーチンは、個人的な問題について命令を下すことはできないとしつつ、夫に語りかけた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フィッチ、イタリアの格付け見通し引き上げ 財政改善

ビジネス

米財政赤字、24年度は1.8兆ドル超で過去3番目の

ワールド

G7が初の国防相会合、ウクライナ支援やガザ停戦要求

ワールド

イスラエル軍によるガザ北部空爆で73人死亡=ハマス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
2024年10月22日号(10/16発売)

米大統領選を揺るがす「オクトーバー・サプライズ」。最後に勝つのはハリスか? トランプか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が始まって以来「最大規模」の超巨大爆発だった
  • 4
    「常軌を逸している」 トランプ、選挙集会で見せた「…
  • 5
    トランプが、娘から露骨に顔を背けて「完全無視」...…
  • 6
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 7
    グロズヌイ「巨大爆発」の瞬間映像...「戦時」の不安…
  • 8
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 9
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 10
    メーガン妃とヘンリー王子の「王室離脱の舞台裏」を…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 4
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 5
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思…
  • 8
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    性的人身売買で逮捕のショーン・コムズ...ジャスティ…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 10
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中