「予防接種で自閉症になる」論文のデタラメ
そして何よりひどいのは、ウェークフィールドが「研究に関わった子供たちが経験するかもしれないと(彼が)知っていたか、知っているべきだった苦痛や痛みについて、無神経にも軽視する態度を取った」こと。ウェークフィールドは「信頼を勝ち得る医師という立場を乱用」し、「医師という職業の信頼を損ねた」と報告書は記している。
もっとも、ランセットの論文撤回によって、予防接種を控える動きがなくなることはない。それどころか、親たちが立ち止まって考えることさえないだろう(賭けてもいい)。英医事委員会も「今回の裁定は、MMRワクチンと自閉症の関連性の有無とは関係ない」と明言している。
英医事委員会はウェークフィールドの倫理責任を追及した。だが皮肉なことに、彼が火をつけた予防接種拒否運動こそ、何よりも深刻な意味で子供を「無責任に軽視」している。