最新記事

アメリカ企業

男から男へのセクハラが急増

2010年1月25日(月)15時24分
クリスタ・ギサマン

 アメリカのレストランチェーン「チーズケーキ・ファクトリー」が、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を黙認したとして米雇用機会均等委員会(EEOC)から提訴されたのは08年7月のこと。アリゾナ州フェニックスの店舗で、従業員6人が男性調理スタッフから体を触られたりレイプのまね事をされたりした。

 同社は訴えを否定していたが、昨年11月に被害者へ34万ドルを支払うことで和解した。

 注目すべきなのは、被害者の従業員が女性ではなく男性だったこと。だがEEOCの訴訟記録によれば、男性同士のセクハラは決して珍しい事件ではない。1992〜2008年の間に、男性が被害者のセクハラ訴訟は8%から16%に倍増した。その多くは男性従業員同士の「同性間セクハラ」だ。

 男性が男性にセクハラする場合、性的な興味というよりは権力を濫用して相手を侮辱する場合が多い。チーズケーキ・ファクトリーの件でも、加害者が被害者の男性に魅力を感じているわけではなかったという。

 不況下ではセクハラが増加する環境が生まれると、人材コンサルタントのミシェル・パルディは言う。多くの男性が無力感や職を失う恐怖を感じ、同僚などを脅威に感じて攻撃するようになるという。

[2010年1月27日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

台湾公取、米ウーバーのフードパンダ買収認めず 競争

ワールド

バイデン氏、Xマスメッセージで団結訴え トランプ氏

ワールド

ロが電力インフラに大規模攻撃、「非人道的」とゼレン

ワールド

ロシア企業、対外貿易決済でビットコインを既に利用=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 2
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシアの都市カザンを自爆攻撃
  • 3
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリスマストイが「誇り高く立っている」と話題
  • 4
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 5
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 6
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 7
    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …
  • 8
    ウクライナ特殊作戦による「ロシア軍幹部の暗殺」に…
  • 9
    中国経済に絶望するのはまだ早い
  • 10
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 8
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 9
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 10
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中