コラム

今年、トランプ流の閣僚人事で開かれる「パンドラの箱」【風刺画で読むアメリカ】

2025年01月06日(月)15時50分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)
アメリカ政治, アメリカ社会, トランプ, ドナルド・トランプ

©2024 ROGERS–ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<今月発足する米トランプ政権の閣僚は性加害疑惑、ロシアのプロパガンダを拡散、筋金入りの陰謀論者などの経歴を持つ「逸材」ぞろい...アメリカ出身芸人のパックンが解説します>

アメリカ大統領を1期だけ務めて、1回退任してから大統領に返り咲いたトランプ氏。このパターンは132年ぶりで史上2回目。選挙が終わったトランプ氏は歴史的な速さで閣僚人事を発表した。さすがに人選するのに4年間もあれば十分だ!

しかし、指名された多くの閣僚候補が疑惑を抱えたり、経験不足だったりして非難ごうごうだ。身辺調査するのに4年間では足りなかったのかな?


特に注目されたのは司法長官に指名されたマット・ゲーツ下院議員。ゲーツは未成年女性買春の疑惑がある。刑事訴追はされておらず本人は潔白を主張しているが、下院倫理委員会の調査報告書が公表されそうになったタイミングで議員を辞職した。「白いものにふた」ってことでしょうね。その後ゲーツは指名を辞退し、トランプの元弁護人が司法長官に指名された。

性関連のスキャンダルで言えば、国防長官に指名されたピート・ヘグセス氏は女性に性的暴力を告発された。こちらも潔白を主張しているが和解金は払っている。これは「口止め料」ではないね。それは次期大統領がポルノ女優に払ったものだから。

国家情報長官に指名されたタルシー・ガバード下院議員に性関連の疑惑はない。ご安心ください! しかしガバードは以前、米資金で生物兵器を開発している研究所がウクライナにあるとか、ウクライナへの侵攻は正当だなどと、ロシアのプロパガンダに近い主張をして騒動になった。その彼女がアメリカの国家機密を全部握る立場に就きそうなわけだ。ご安心できない!

プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米郵政公社、中国・香港からの小包一時停止 関税措置

ワールド

米政府効率化チーム、財務省支払いデータの閲覧可能に

ビジネス

旭化成、通期営業益予想を上方修正 電子部品など全事

ビジネス

トヨタ、通期の営業益を4000億円上方修正 販売計
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 6
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 7
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    メキシコ大統領の外交手腕に脚光...「トランプ関税」…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story