ECB、3会合連続で0.25%利下げ 文言変更で一段の緩和示唆
欧州中央銀行(ECB)は12日、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ、3.0%とした。写真は同日撮影の のラガルドECB総裁(2024年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は12日、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ、3.0%とした。域内の政情不安による経済成長への影響や米国との新たな貿易戦争のリスクを踏まえ、2025年の追加利下げの可能性に含みを残した。
利下げは3会合連続で、今年4回目。今回の利下げは予想通り。声明の文言を変更したことで、一段の利下げが示唆された。
ECBは声明で「大部分の基調インフレ指標は、インフレ率が理事会が中期的な目標とする2%近辺で持続的に安定すると示唆している」とし、従来の「十分に制約的な政策」を維持するとの確約を削除した。
同時に「理事会は特定の金利の道筋を事前に確約しない」とも表明した。
ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」とし、「25年には2%のインフレ目標が達成される」との見通しを示した。
同時に「変化した要素は下振れリスクだ。特に成長に対する下振れリスクがより顕著になった」とも指摘。域内のインフレ率は依然として懸念すべき高水準にあるとし、インフレに対する勝利宣言は尚早との認識を示した。
ラガルド氏はこのほか、今回の理事会で「0.50%ポイントの利下げについても一部で議論があった」と言及。最終的には0.25%の利下げで合意に至ったと説明した。
今回の理事会に先立ち、0.50%ポイントの利下げを明確に主張した政策担当者はいなかった。ただ、複数の当局者が経済成長とインフレを巡るリスクが高まっていると指摘。こうした懸念はECBがこの日に発表した最新の経済予測に反映された。
ユーロ圏ではドイツが早期の選挙に直面、フランスが安定政権の樹立で苦戦する中、来年初めに就任する米国のトランプ次期大統領が導入する可能性のある関税措置などを巡る不確実性が高まっている。
ラガルド総裁は記者会見で、貿易摩擦が経済成長の重しになる可能性を指摘。広範な地政学的な状況がインフレ上昇リスクの一因になる可能性があるとの見方も示した。
<文言変更で追加利下げ観測高まる>
ECBが声明から制約的な政策に関する言及を削除したことで、利下げ継続が示唆されたとの見方が台頭。来年1月の理事会でも追加緩和が決定されるとの見方が出ている。
S&Pグローバル・レーティングスの欧州・中東・アフリカ(EMEA)チーフエコノミスト、シルバン・ブロイヤー氏は「ECBは利下げペースを加速させなければならない」と指摘。「中銀預金金利が中立水準に達するまで継続的に利下げを実施するというコミットメントを示す必要がある」と述べた。
一方、ノルデアは「一段の利下げが予想される」としながらも、「ECBはその過程を急がない」と予想。「ラガルド総裁はこれまでの4回の利下げで多くの成果が得られたと強調しているため、追加利下げの余地は限定される可能性がある」との見方を示した。
市場では、来年1月の理事会で0.5%ポイントの大幅利下げが決定される確率は30%程度と予想されている。年後半も利下げが続き、25年末までに中銀預金金利は1.75%に引き下げられるとの見方が出ている。
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