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トヨタが一時5%安、ダイハツの出荷停止を嫌気 スズキに「漁夫の利」思惑も

2023年12月21日(木)12時22分

 12月21日の東京株式市場で、トヨタ自動車が一時、前営業日比5%超安となった。2022年11月、ベルギーのザベンテムで撮影(2023年 ロイター/Johanna Geron)

Noriyuki Hirata Mayu Sakoda

[東京 21日 ロイター] - トヨタ自動車株が急落している。傘下のダイハツ工業が20日、国内外で販売する全車種の出荷を一時停止すると発表したことを受けて売りが先行し、一時5%超安に下落した。一方、軽自動車でダイハツと競合するスズキは逆行高となり「漁夫の利」の思惑が浮上した。

ダイハツは、車両の安全性を確認する試験で不正を行っていた問題で、対象車種が拡大した。トヨタ株は、世界で112万台をリコール(回収・無償修理)すると発表したことも嫌気された。助手席のシートセンサーがショートし、エアバッグの制御システムが適切に作動しない恐れがあるという。センサーを手掛けたことが伝わったアイシン株も急落した。

ダイハツの出荷停止は、部品会社にも思惑が波及。鍛造部品を手掛けダイハツとの関係が強いとされるメタルアートは一時9%超安となった。

野村証券の桾本将隆リサーチアナリストは20日付けレポートで「トヨタの業績への影響は限定的」と指摘。仮にダイハツが1か月生産を停止して12万台減産すると、トヨタ自動車の売上高は2400億円減少し、サプライヤーへの補償を含め、営業利益は1000億円─1500億円減少すると試算している。

<競合メーカーに「漁夫の利」も>

一方、「他社にはわずかに漁夫の利」(桾本氏)があるという。スズキは逆行高となり、株価は一時3%超高。ダイハツからシェアを奪うのではないかとの思惑が出た。同じく軽自動車を手掛ける三菱自動車工業も午前は小高い推移が続いた。

仮に国内減産分の半分が他社に流れる場合、足元のシェアで単純計算すると、24年3月期の営業利益はスズキで1.3%、三菱自動車工業で0.9%、ホンダで0.4%、日産自動車で0.3%、それぞれ増加すると、野村証券では先のレポートで試算している。

ダイハツでは14年以降に不正の数が増加していた。その背景について、外部弁護士らによる第三者委員会は、短期間開発の車種が増えたことがあるとみている。

ダイハツは今後、開発車種数の絞り込みが見込まれるとして、東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「トヨタなどは品揃えの面でスズキに頼ることもあるかもしれない」との見方を示している。

ロイター
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