１０月３１日と聞いて真っ先に頭に思い浮かべるのは「ハロウィーン」でないでしょうか。仮装パーティのようなハロウィンはアメリカ発祥と言われていますが、近年ではスペインでもこの文化が浸透しこの日は仮装して街に繰り出す人々がたくさんいるようです。スペインではハロウィーンの次の日である１１月１日は諸聖人の日と言って祝日であるため、平日ど真ん中である今年のハローウィンでも夜には仮装をしてパーティに向かう若者たちをたくさん見かけました。ちなみにハロウィーン翌日の諸聖人の日にはスペイン人は故人を想ってお墓参りに行きます。日本のお盆みたいですね。

さて、多くの人にとっては「ハロウィーンの日」である１０月３１日ですが、今年の１０月３１日はスペインにとって特別な日でもありました。

レオノール王女１８歳の誕生日

スペインの国王フェリペ６世の長女であるレオノール王女が３１日、１８歳の誕生日を迎えました。晴れて成人を迎えた王位継承順位１位であるレオノール王女。この日、王女は国会で憲法への忠誠を誓う宣誓式に参加し、これによって正式に国王の法的後継者となりました。今後、国王が不在の際にはレオノール王女が国家元首となるのです。首都マドリードではこの宣誓式のために朝から交通規制が行われ、王室一家を一目見ようとたくさんの人々が宮殿から議会に続くメインストリートに足を運びました。

「私を信じてください」

真っ白なスーツに身を包んで議会に姿を現したレオノール王女は、スペイン憲法に忠誠を誓いこのようなスピーチを行いました。

「18歳を迎え成人年齢に達するにあたり、憲法に規定されている宣誓を行いました。私は忠実に自身の義務を遂行し、憲法と法律を守り、施行し、市民と自治区の権利、そして王への忠誠を尊重することを誓いました。」

今年５月、村上春樹氏が文学賞を受賞したアストゥリアス皇太子賞のスピーチでは緊張が隠せない様子をみせていたレオノール王女ですが、この日行われた宣誓式では将来のスペイン女王となる意気込みが感じられる堂々とした態度で終始スピーチを行いました。

「今日から私にはすべてのスペイン人に敬意を払い、忠誠を尽くして仕える義務があります。これ以上の誇りはありません。私が私たちの未来やスペインの未来を信じているように、皆さんには私を信じていただきたいのです。」

やっぱり１８歳

成人を迎え、凛々しい姿を国民に披露したレオノール王女ですが、王女といえどもやはり中身は普通の１８歳。宣誓式のあとに開かれた昼食会では、クラッシックなどの音楽の他に若者の間で流行している曲がいくつか選曲され、話題を呼びました。

また、昼食会の乾杯の場面では成人したレオノール王女が公の場で初めてアルコール(シャンパン)を口にしましたが、予想外の味だったのか顔をしかめてしまい、そんな娘の姿を見た母親のレティシア女王が思わず吹き出して笑ってしまうというシーンがカメラに収められニュースになりました。

この式典には「レオノール世代」と呼ばれる１８歳から２８歳の若者１０名が招待されましたが、レオノール王女がその参加者らと自撮り(セルフィー)を楽しむ場面も見受けられ、この姿は「Ｚ世代のレオノール王女」として報じられています。

国王もやっぱりお父さん

国の君主として常にビシッとした態度を貫いているフェリペ６世ですが、やはりレオノール王女と接するとなるといくら国王でもお父さんらしさを隠すことができません。

議会でレオノール王女が勲章を受け取った際には、国王が王女の首にかかったメダルとヘアスタイルを整えてあげる場面があり、「国王のほっこりする姿」として各紙で報道されました。

また昼食会では国王が離れた席に着席するレオノール王女に対して乾杯のやりかたをジャスチャーを交えながら教えてあげている場面がカメラに収められています。普段公に見せない父親らしい国王の姿に多くの国民の注目が集まりました。

レオノール王女に全国民が注目

スペインでは国王が軍隊の最高司令官となります。そのため、将来女王となるレオノール王女は今年８月から士官学校に入学し、現在３年間の軍事訓練を受けている真っ最中。入寮の様子や、初めて軍服を着てパレードに参加した様子、入水訓練の様子まで、今年はレオノール王女の年だと言っても過言ではないほど、彼女の言動や写真が頻繁にニュースに取り上げられる一年となっています。

スペインで一番といっても過言ではないほどラグジュアリーな誕生日会を終えたレオノール王女。成人となった今、公の場に出て公務を行う機会が今後増えると思いますが、スペイン国民の多くが彼女の成長を楽しみに見守っています。