魅惑の摩天楼、香港フォト通信
世界に誇ってきた香港のゼロコロナ政策が暗転、それでも強制隔離キャンプを作り続けるのが怖い
■市内感染ゼロから一転、霧が立ち込めてきた香港
香港は世界でも有数のコロナに対して厳しい措置を取っている地域の一つである。「ダイナミックゼロ政策」と呼ばれている。
香港入境者に数週間隔離を強制し、境界封鎖、トランジットを禁止し香港を鎖国状態にすることでずっと市内感染ゼロを保持し、そしてゼロ政策を誇ってきた。
ところが大みそかを境に事態は一転する。オミクロン市内感染者第1号がついに出た。
キャセイの客室乗務員がフライトから帰ってきた後、3日間の自宅待機のルールを破って家族とレストランに行ってしまったからだ。
同じレストランの9メートル先のお客にも感染し、あれよあれよと数百人に膨れ上がり2月17日には1日の感染者が6107人にまで膨れ上がった。人口比で計算すると日本で1日に約11万3000人出たことに相当するからかなりの数だ。2月20日も1日の感染者数は6067人である。
市内感染ゼロが続いていた日々は遠のき、海外のオミクロンの数が他人事だった香港は慌てふためいている。
(資料・香港政府)
■香港のゼロ政策の方針はなにがなんでも入院させるか隔離施設行き
香港のゼロ政策のひとつであるが、感染者は何が何でも病院に入院させるか、強制隔離施設に送り込む策を取ってきた。感染者が数十人、数百人のうちは何とか回っていた。
いまや毎日6000人規模に膨れ上がると病院はもう収容能力が限界、路上で寝かされる人も出てきた。
■何が何でもゼロに持っていけという北京からの指令
北京からは何が何でもゼロ政策を堅持しろとのお達しがでているので守らないわけにはいかない。
香港は強制隔離施設の増設の方向に舵を切っている。中国本土からも大挙して応援部隊が入ってきている。
旧カイタック空港は今豪華客船が停泊するターミナルになっているがそこに一万人を収容できる強制隔離施設を建設するそうだ。そして現在の隔離施設Sunny's Bayが満杯になってきたので今度はPenny's Bayに隔離施設を建設する予定である。
学生寮もクルーズ船もホテル1万室も隔離施設にする予定で動いている。
■全市民750万人のテストもやるらしい
おそらくマカオと同じ事をしようとしているのだろう。
マカオでは初のコロナ患者が出た時点で全住民に検査を行った。感染者をあぶりだし封じ込めに成功した前例がある。でもこれって初期段階にやったからこそ功を奏したんであって、香港のようにすでに数千人単位で毎日増え続けてからやったって意味がないんじゃないかと思う。
■『香港のコロナ政策、旧ソ連の収容所送りみたいですね』
イギリスはいまだ1日の感染者が数万人規模で出ているが規制を取っ払った。入国時のPCR検査不要、隔離なし、マスクも無し、大学では大きなホールで数百人が受ける抗議も再開。全面的に対面授業だ。コロナと共存していく道を選んだ。
デンマークもコロナの規制をすべて撤廃している。
マレーシアもしかり。
ウィズコロナの国に住んでいる友人から言われてしまった。
『香港のニュース読んでるけどね、何が何でも強制隔離キャンプ行きってグラーグ(Gulag)みたいじゃん(旧ソビエト連邦の強制収容所の管理中央管理局)』
言われてみると全く本当だ。簡易ベッドを何万室と作り続けるというのはホラーだ。3月には香港は1日数万人単位でピークへと向かうという予測がある。他国のように重症者以外すべて自宅待機にスイッチして欲しいものだ。
著者プロフィール
- マリエ
香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら。