魅惑の摩天楼、香港フォト通信
あなたはカフェ派それとも茶餐廳派?対極が交錯する香港の象徴的な存在
香港は対極が交錯する街である。
ラグジュアリーホテルと安宿、ヨーロッパからヘッドハンティングされてきたシェフが競い合う最先端レストランと一杯数十ドルの担々麺、豪華絢爛のブランドショップともろパクリ物が竿に干して売っている屋台、街全体が対極で構成されている。
そこがおもちゃ箱をひっくり返したような風情で香港が面白い由縁だと思う。その面白さにはまる人がリピーターになるのかもしれない。
今日ご紹介する茶餐廳(チャーチャンテーン)とカフェも真逆の存在で大変面白い。
■茶餐廳(チャーチャンテーン)って何?
茶餐廳(チャーチャンテーン)とは一言でいうと庶民のための大衆食堂。第二次世界大戦直後、当時庶民には遠い存在だった洋食を提供し人々の心を捉えた。ハンバーグ系からサンドイッチ、カレー、チャーハン、ワンタン麺、先日ご紹介したぶっかけ飯、麻婆豆腐と香港人の好きなメニューがなんでもある。朝早くから開いていて出勤前にマカロニのスープとトーストのパンを食べていったり、イギリス植民地の名残で午後2時半からは下午茶(アフタヌーンティー)と称して麺類やサンドイッチといった軽食に飲み物付きのメニューが格安で提供される。
おしゃれ感はない。楊枝を加えたオヤジがシーシーハーハー言ってる風情がじつにしっくり来る所。
灰皿は缶詰の缶だったりする。でも香港らしさのエッセンスをぎゅーっと凝縮したような"これぞ香港"な所であり、香港人には昔から身近で無くてはならない存在である。
■香港の若者は断然カフェ派
片や茶餐廳(チャーチャンテーン)の真逆の存在と言ったらカフェ。今の香港は雨後の筍のごとくカフェが増殖している。これは現在再開発が盛んなことと、若い世代は特にカフェを好む傾向を反映しているのかもしれない。
カフェが若年層の心をとらえるのは日本も香港も同じ。
日本もデートで彼氏に牛丼屋に連れていかれるよりカフェがいいに決まっている。気が強くプライドが高い香港女性ならなおさらデートで茶餐廳(チャーチャンテーン)でワンタン麺すすろうぜじゃ怒るでしょう。カフェでアートを施したラテとしゃれた盛り付けをしたパンケーキのほうが女性受けする。
↑カフェでラップトップ叩けば男度も上がる!
今回の写真に登場したカフェは以下の2店舗 個人的に香港でお勧めしたいカフェです。
https://www.instagram.com/artistrybrewingcompany/?hl=en
https://www.instagram.com/colourbrowncoffee/?hl=en
■今のところ住み分けができている
若者同士あるいはデートはカフェ、家族との気楽な食事、中年層、お年寄り層は昔ながらの茶餐廳(チャーチャンテーン)でと今のところ住み分けができているように見受けられる。
いずれは今の若年層が中年になる20〜30年後は茶餐廳(チャーチャンテーン)とカフェの比率は逆転してカフェが凌駕する日が来るのだろうか?
■日本にも茶餐廳(チャーチャンテーン)がある!
私個人は香港の最先端カフェも茶餐廳(チャーチャンテーン)どちらも好きだけれど、いずれ日本に本帰国した暁には、懐かしく思い出すのはきっと茶餐廳(チャーチャンテーン)に違いない。
現在コロナ禍で日本からの香港入境時はワクチン2回接種済みの場合、香港政府指定のホテルでの2週間の隔離が義務付けられている。
実質、日本からの観光客はほとんど来ていない。香港が大好きでたまらないのに香港に行けない日本の香港好きさんに支持されているお店がある。なんと茶餐廳(チャーチャンテーン)が都内にあるのである。メニューもまったく香港と同じでニンマリしてしまう。
店名は香港贊記茶餐廳という。
お店のサイト:https://chankichachanten-iidabashi.jp/index.html
現在2店舗、飯田橋と吉祥寺に2店舗を構えている。
訪れる人はきっと茶餐廳の中に香港らしさを見出し、強烈なインパクトのある茶餐廳の思い出に浸っているのだと思う。
著者プロフィール
- マリエ
香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら。