コラム

バイデン政権は事実上弾切れ、中間選挙の見通しは厳しく

2021年08月27日(金)15時50分

バイデン政権の公約内には上述の巨額のバラマキ政策以外の景気浮揚策はほぼ見当たらない。むしろ、財政赤字拡大による債務上限問題が噴出することで、民主党左派の決まり文句である医療保険制度改革を実現するための予算捻出は困難となっている。さらに、中長期的には増税や規制強化などのラインナップが残っており、それらの政策は来年以降に本格的に議論されることになるだろう。増税や規制強化は米国経済にマイナスの影響を与えるため、バイデン政権の支持率は低下すると見做すべきだ。

日本ではバイデン政権のレイムダック化を見越した議論を始めるべき

また、現在までは新型コロナウイルス対策が政治争点として注目され続けているものの、今後は経済再開や治安回復のために何ができるのかが重要となる。それらの分野は共和党にとっては得意領域であり、中間選挙の争点は共和党に有利なものに設定される可能性が高い。

共和党側には不法移民問題などの無数の攻め手があるのに対し、バイデン政権は選挙戦に有効な手札を焦って切り過ぎている。したがって、やや気は早いものの、日本でも中間選挙後の連邦下院を失ったバイデン政権のレイムダック化を見越した議論をスタートするべきだろう。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

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