「コロナで何人殺した?」 WHOが解任した葛西事務局長の問題発言とは
WHO西太平洋事務局を務めていた葛西健 WHO
<1年以上前に内部告発された日本人幹部がようやく処分へ>
世界保健機構(WHO=本部スイス・ジュネーブ)は3月8日、フィリピン・マニラにある西太平洋事務局の日本人事務局長、葛西健氏を解任したことを明らかにした。WHOによると特定の人種を差別する発言や内部の秘密情報を母国である日本に漏洩した疑いがあるとの情報が同事務局の現役や退職したスタッフなどから2022年1月以降寄せられていた。その後WHOはそのような情報の提供を受けて「規則違反の疑いがある」として2022年8月に葛西氏を休職扱いとすると同時に本格的な調査を開始していた。
その調査結果や西太平洋事務局スタッフなどへの聞き取りから内部告発に基づく情報は事実関係が濃厚であるとしてWHOの規定に基づきて解任処分となったものだが、葛西氏はこれまでメディアの取材に「差別発言や秘密漏洩は事実ではない」と疑惑を全面否定していた。
WHOは8日、ホームページで葛西氏の名前を伏せながら「西太平洋事務局長に関連する状況について」と題する声明を発表し「西太平洋地域事務局長に関する不正行為に対する申し立てを受け、調査の結果不正行為が確認され事務局長としての任務は終了した」という表現で葛西氏が解任されたことを明らかにしている。
スタッフに「コロナで何人殺したか」
WHOは解任理由の一つとして指摘した職員や部下に対する人種差別的発言の詳細を明らかにしていないが、約30人のスタッフから内部通報された内容や一部報道などによると新型コロナウイルス対策などを協議する場でフィリピン人スタッフに対して葛西氏が「この太平洋地域で一体何人を殺したのか、そしてさらに何人を殺したいのか」と発言してなじったという。
さらに葛西氏は太平洋地域のいくつかの国でコロナウイルスによる感染被害が増加していることに関して「文化、人種、社会経済的レベルの劣等による能力の欠如がある」と原因をそうした国の「能力の欠如」のせいにする発言を行ったという。
この発言は事務局のマレーシア人、中国人、フィリピン人スタッフに対する不適切かつ差別的発言として訴えられていた。