コロナ禍で大きく変わった「お金の使い方」
ライフスタイルの変化にコロナ禍が拍車をかけた mapo/iStock.
<食費支出が増えてエンゲル係数が上がる一方、洋服への支出は急減している>
コロナ禍となって久しいが、それが人々の生活にどういう影響を及ぼしたかを可視化するデータがたまってきた。変化は様々な面で出ているが、お金の使い方も変わってきている。
まずは、使うお金の額だ。総務省の『家計調査』によると、2人以上世帯の消費支出額(年間平均)は、2019年が352万円、2020年が334万円、2021年が335万円、2022年が349万円と推移している。コロナ禍の最初の1年間でガクンと減り、その後持ち直している。しかし観察のスパンを広げると、今世紀初頭の2000年では381万円。収入の減少もあってか、長いスパンでみると消費に使うお金は減ってきている。
中学の社会科の教科書に書いてあることだが、生活が苦しくなると必須度の高い品目への支出は増え、そうでない品目(奢侈品)への支出は減る。前者の代表格は食費で、後者としては例えば洋服などが該当する。
トータルの消費支出額、食費、および洋服の支出額の変化をグラフにすると<図1>のようになる。2人以上世帯の年額平均で、2000年の数値を100とした指数の推移だ。
新自由主義政策もあってか、国民の生活は苦しくなり、消費支出額は減少傾向にある。2019年から2020年の減り幅が大きく、コロナ禍の影響も見て取れる。具体的な額は上述の通りだ。
食費支出は増えていて、消費支出全体に占める割合(エンゲル係数)も上がってきている。消費が必須品に偏るようになっている、すなわち生活が困窮していることがこの点からも分かる。
あと1つの洋服への支出額は、消費支出全体より速いスピードで減っており、コロナ禍の影響もよりハッキリと出ている。2000年では8万円だったが、2019年は5万5千円、2020円は4万4千円という具合だ。
洋服は、外界の温度変化(暑さ、寒さ)に適応するためのものだが、お洒落や見栄のツールとしての機能もあり、時代と共にこちらが強くなってきている。収入が減り、かつコロナ禍で人と会わなくなっているとなると、洋服への支出が減るのは当然だ。