中国にリスク覚悟で「偵察気球」を送らせた3つの対米不満
Spy balloon signaled China's displeasure over three issues: Stavridis
中国の気球に向かってミサイルを発射する米軍のF22戦闘機(イメージ) Amit Sengupta-YouTube
<中国がブリンケン米国務長官の訪中前のこのタイミングであえてリスクを冒したのは、アメリカのインド太平洋戦略に憤りを募らせていたからではないか、と米海軍の元大将は言う>
中国がアメリカ本土上空で偵察用気球とみられるものを飛ばした狙いは、アメリカのインド太平洋戦略に対する不快感を表明することだったのかもしれない――米海軍の元大将であるジェームズ・スタブリディスが、このような見方を示した。
問題の気球は、2月1日にモンタナ州ビリングスの上空を飛行しているのを発見され、アメリカの国家安全保障に対する不安の声が高まった。気球は国際法上、航空機に位置づけられており、許可なくアメリカの領空に侵入するのは国際法違反であり、アメリカの領空侵犯にあたるためだ。気球はその後、数日間にわたってアメリカ上空を飛行し、4日に大西洋上に出たところで撃墜された。
この事件は、既に中台統一やロシアのウクライナ侵攻をめぐって対立しているアメリカと中国の緊張を、さらに高めることになった。
アントニー・ブリンケン米国務長官は、気球が発見されたことで米中間の緊張緩和を目的としていた中国訪問の予定を延期。一方の中国は、気球は気象観測などの科学研究を目的とした民間のものが、米領空に迷い込んだだけだと主張。撃墜を非難した。