中国「世界最大の移動」春節の感染拡大 100万人以上死亡の懸念
「世界最大の移動」が起きる春節 100万人以上死亡の懸念
中国では1月23日から、春節(旧正月)の大型連休を迎える。連休中の大移動で感染が広がれば、状況はさらに悪化するおそれがある。最悪のケースでは、100万人以上が死亡するとのシナリオが報じられている。
春節の期間には、世界最大規模の移動が起こるとされている。BBCは中国当局による予測をもとに、延べ20億人以上が旅行を行う見込みだと報じている。また、ナショナル・ジオグラフィック誌のイギリス版は、春節は「世界最大の民族大移動」を引き起こしていると指摘している。
都市部では感染が落ち着きを見せ始めた自治体がある一方、高齢者の多い農村部では、旧正月の大移動でウイルスが持ち込まれる懸念がある。中国ではワクチンに関するスキャンダルが相次いだことから不信感が根強く、高齢者のブースター接種率は6〜7割程度と伸び悩んでいる。また、国産の不活化ワクチンにこれまでこだわってきたことから、有効率は欧米のワクチンに劣ると指摘されてきた。
ガーディアン紙によると中国当局は、地方にいる高齢者の家族がまだ感染していない場合、帰省を控えるよう呼びかけている。国務院流行予防班のグオ・ジャンウェン博士は「愛情を示す方にはさまざまなものがあります。必ずしも彼らの家にウイルスを持ち込む必要はありません」と呼びかけ、帰省の取りやめを求めている。
英エコノミスト紙は、データの透明性がない中国では死者数の予測が難しいとしながらも、最悪のシナリオでは150万人が死亡すると述べている。死者の90%は60歳以上の高齢者が占めるという。