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死因「意外な物質の過剰摂取...?」ブルース・リーの死因をめぐる新たな仮説が示された
ブルース・リーの死因は、公式には、鎮痛剤「エクアジック」への過敏性反応による脳浮腫が死因だとされているが......REUTERS/Bobby Yip
<ブルース・リーは1973年7月20日、32歳の若さで死去した。公式には、鎮痛剤「エクアジック」への過敏性反応による脳浮腫が死因だとされているが、新説が示された......>
武道家からアクションスターへ転身し、「ドラゴンへの道」や「ドラゴン怒りの鉄拳」などの香港映画で主演を務めたブルース・リーは1973年7月20日、32歳の若さで死去した。死亡時の脳重量は平均値1400グラムを上回る1575グラムで、剖検では脳浮腫が認められた。公式には、鎮痛剤「エクアジック」への過敏性反応による脳浮腫が死因だとされている。
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「腎臓が過剰な水分を排泄できなくなったことが死を招いた」
スペイン・マドリード自治大学(UAM)ヒメネスディアス財団病院の研究チームはこれまでに公表されている情報を分析し、「ブルース・リーの死因は低ナトリウム血症による脳浮腫である」との新たな説を示した。その研究論文は医学雑誌「クリニカル・キドニー・ジャーナル」(2022年12月号)で掲載されている。
研究チームは、ブルース・リーが「エクアジック」を以前にも服用しており、死亡当日、頭痛など、脳浮腫で説明がつく症状が出た後に「エクアジック」を服用していることから、「『エクアジック』への過敏性反応による脳浮腫」とする公式の死因を否定。「『エクアジック』への過敏性反応が死因だとしたら、剖検で見つかるのは脳浮腫だけではないはずだ」とも主張している。
研究チームの新たな仮説は「腎臓が過剰な水分を排泄できなくなったことが死を招いた」というものだ。
低ナトリウム血症とは血液中のナトリウム濃度が非常に低い状態をさす。研究チームの分析によると、ブルース・リーには、慢性的な水分の過剰摂取、喉の渇きを高めるマリファナの使用、アルコール摂取、処方薬の服用、急性腎不全(AKI)の既往歴など、低ナトリウム血症の危険因子が複数あったとみられる。
最期の数カ月間、固形物を食べていなかった
たとえば、ブルース・リーは最期の数カ月間、固形物を食べずに、もっぱらニンジンジュースやリンゴジュースを飲むという食生活を送っていた。死亡当日も体調に異変が起きる直前まで、一日中繰り返し水分を摂取していたという。一般論として、過剰な水分摂取が尿中への水分排泄と一致しない場合、低ナトリウム血症となり、脳浮腫を引き起こし、数時間で死に至るおそれがある。
研究チームは当時の状況をふまえ、「ブルース・リーは水分の恒常性を維持するために過剰な水分を十分排泄できない『腎不全』で死亡したと仮定する」と結論し、「健康で若い人でも、水分の過剰摂取によって低ナトリウム血症となり、死亡するおそれがあることを鑑みると、『水分の過剰摂取は死を招くおそれがある』ことを広く啓発する必要がある」と説いている。