「あなたの血液型は?」60歳未満で脳卒中を発症するリスクと血液型に関連性がある、との研究結果
血液型と60歳未満で脳卒中に発症するリスクとの間に関連性が...... busracavus-iStock
<研究チームが脳卒中と関連する遺伝子変異を調べた結果、ABO血液型を決定する遺伝子を含む染色体領域と60歳未満で脳卒中に発症するリスクとの間に関連性があることがわかった>
私たちの血液型は、60歳までに脳卒中を発症するリスクと関連性があるかもしれない。これを示唆する研究成果が2022年8月31日、医学雑誌「ニューロロジー」で公開された。
米メリーランド大学医学部(UMSOM)の研究チームは、北米、欧州、日本、豪州、パキスタンでの48の研究を通じて収集した18~59歳までの脳卒中患者1万6730万人とその対照群59万9237人のデータを用いて、遺伝的特徴と60歳未満の早期発症脳卒中に関するメタ分析を行った。
A型は早期発症型脳卒中のリスクが16%高い
研究チームが脳卒中と関連する遺伝子変異を調べた結果、ABO血液型を決定する遺伝子を含む染色体領域と早期発症脳卒中との間に関連性があることがわかった。
A型は他の血液型に比べて早期発症脳卒中のリスクが16%高く、O型はそのリスクが12%低かった。なお、B型は、年齢問わず脳卒中を発症する確率が約11%高い。
また、研究チームは、60歳以降に脳卒中を発症した約9300人とその対照群約2万5000人を比較した。その結果、晩期発症脳卒中と血液型との関連性は、早期発症脳卒中と血液型との関連性に比べてはるかに弱くなっていることがわかった。このことから、早期発症脳卒中と晩期発症脳卒中では発症のメカニズムが異なる可能性がある。
その原因は明らかになっていない
「A1型」で早期発症脳卒中のリスクが高くなった原因は明らかになっていない。研究論文の責任著者でメリーランド大学の神経科医スティーブン・キトナー教授は「血栓の形成に関与する、血小板、血管を覆う細胞、その他の循環タンパク質といった血液凝固因子が関係しているのかもしれない」と考察する。
今回の研究成果は、対象者のうちヨーロッパ系以外の祖先を持つ人の割合が約35%にとどまり、多様性にやや欠けている点で限定的ではあるものの、「遺伝的に決定された血液型が早期発症脳卒中にどのように関与しているのか」という問いを投げかけるものとして意義がある。