「俺のことわかる?」自分の彼女を殺した犯人に面会に行った男性が、知りたかったこと
本書が刊行されるまでには、こうしたプロセスがあったのだ。
ただし先述したとおり、ここで明らかにされているのは「中野劇団員殺人事件」だけではない。ほかにも「千葉小3女児殺人事件」「大阪21歳女性刺殺事件」「前橋高齢者強盗殺人事件」「京都アニメーション放火殺人事件」「八王子中2女子いじめ自殺事件」「三島バイク交通死亡事故」「目黒5歳女児虐待死事件」「大阪姉妹殺人事件」と、多くの事件の細部に光が当てられていく。
なかには、読者がご存じの事件もあるだろう。だが重要なのは、記憶に残っているにせよ、ここで初めて知ったにせよ、ひとつひとつの事件の背後にはそれぞれ"日影のこえ"があるということだ。
本書を通じてその声を聴いている私たち自身が、いつしか当事者にならないなどという保証はどこにもない。
『日影のこえ――
メディアが伝えない重大事件のもう一つの真実』
高木瑞穂、YouTube「日陰のこえ」取材班 著
鉄人社
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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。ベストセラーとなった『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)をはじめ、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。新刊は、『書評の仕事』(ワニブックス)。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。