人民日報がウクライナ危機に乗じた反米キャンペーンを開始
At Home, 'Neutral' China Pushes Vladimir Putin's Agenda on Ukraine War
ロシア支援と見せかけて対米戦争を仕掛ける習近平(右)(2022年2月、北京) Sputnik/Aleksey Druzhinin/Kremlin/REUTERS
<ロシアによるウクライナ侵攻に対し「中立」と称してきた中国が、国内向けにロシアの責任をアメリカやNATOに押し付ける主張を展開し始めた>
中国政府はロシアが仕掛けた戦争の責任を西側に押し付ける新たなキャンペーンに乗り出した。中国共産党の機関紙が、アメリカはウクライナの危機について「逃れられない責任」を負っていると宣言したのだ。
「ウクライナ危機の背後には、アメリカの覇権の影がある」と、共産党の公式見解を伝える人民日報は3月29日付の3面の論説で述べた。執筆者の「鐘声」(中国指導部が国際情勢を解説する際のペンネーム)は、さらにこう続ける。「アメリカ主導のNATOの東方拡大がウクライナ危機の根本原因であり、アメリカはウクライナ危機を扇動している」
この論説は中国共産党のプロパガンダ担当部門が繰り出す新シリーズの第一弾で、アメリカ主導の戦後国際秩序に対する中国政府の数年に及ぶ闘争の最前線となる。
表向きはNATOという「冷戦の遺物」を批判する内容だが、それ以上に、米中対立のシナリオ作りをする中国政府が、国民に西側諸国全般、特にアメリカについてどのように認識してほしいかを示している。
この論説は最後に、欧州に新たな安全保障のメカニズムを構築するにあたり、すべての当事者は東西の枠に捉われず、地政学を「現実的かつ冷静に」見つめるよう呼びかけた。
そして「ウクライナ危機を扇動し、その推進に最も大きな役割を果たしたアメリカは、その軽蔑に値する役割を反省し、冷戦的な考え方と覇権主義的な行動を完全に放棄し、世界と地域の平和と安定に真に貢献すべきである」とも述べている。
中立を主張しつつ支援
2月24日にプーチン大統領がウクライナへの侵攻を命じて以来、中国はこの紛争の「当事者ではない」という立場を堅持してきた。3月2日と24日の国連総会では、それぞれ141カ国と140カ国がロシアの戦争を非難し、ウクライナで拡大する人道的危機の原因としてロシア政府を非難したにもかかわらず、中国は表向き中立を宣言し、自国の立場は国連での多数派と一致している、と主張してきた。
だが中国が国連で賛成票を投じたのは、ロシアが独自に作成したウクライナに関する人道的決議案だけだ。ロシアによる軍事侵攻についてまったく触れていないこの決議案は、23日の国連安全保障理事会で否決された。
中国は、ロシアとは通常の貿易関係を継続するが、武器やその他の戦時物資を提供してプーチンを直接的軍事的に支援することはないと主張している。
もしロシアにそのような支援をすれば、中国も制裁を受けることになると米政府は警告shしている。最近では、オンライン首脳会議でジョー・バイデン大統領も習近平国家主席に、直接くぎを刺した。