茂みから出てきた野生ゾウがサファリカーを襲う瞬間
「マスト期」には、テストステロンの値が通常の約60倍に(写真はイメージです) Aberson-iStock
<サファリカーは激しく破損。一刻を争う車両内で撮影された映像が話題に>
南アフリカの国立公園で、サファリカーがゾウに襲われる事件が発生した。至近距離で撮影されたゾウの狂気が、ネットユーザーを震撼させている。
映像のはじめ、前方にはゾウの群れが確認できる。すると、左手の茂みから1頭のゾウが姿を現す。次の瞬間、車両に向かって突進してきた。ゾウは一度止まったように見えたが、足を踏ん張り、車両を押し始めた。
離れたところから撮影された2つ目の映像を見ると、現場の様子がさらによく分かる。ゾウの襲撃を受けた車両に乗っていた数人が、撮影者の方へと必死に走って逃げてくる。ツアーガイドも「車から出ろ!」と叫ぶ。
クルーガー国立公園内にある保護区で行われたこのサファリは、ガイドを養成する「エコ・トレーニング」によって実施された。そのなかで、インストラクターと研修生らは繁殖中のゾウの群れに遭遇。彼らは動物を観察し、刺激しないために停車したという。
攻撃的な「マスト期」のオス
ゾウのオスには、テストステロン(男性ホルモン)の値が通常の約60倍にもなる「マスト期」と呼ばれる時期があり、この間は非常に攻撃的になる。サイを襲ったり、村に入り込んで農作物を荒らすこともある。
団体の声明によると、遭遇したゾウはマスト期にあった可能性が高いという。ゾウの突進によってサファリカーは破損したが、幸いにも怪我人は発生しなかった。事件後、関係者は全員、専門家によるカウンセリングを受けたとエコ・トレーニングは述べている。