最新記事

中国

自民党総裁選4候補の対中政策と中国の反応

2021年9月20日(月)21時04分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
自民党総裁選

2021年自民党総裁選、公開討論会(日本記者クラブ) Eugene Hoshiko/REUTERS

自民党総裁選4候補の対中政策を、人物像を含めて考察し、中国が日本で公表された各候補の対中政策をどのように見ているかを分析する。

河野太郎候補

18日に日本記者クラブで行われた公開討論会で、日中関係に関する記者からの質問に対して河野氏は主として以下のように答えている。

●日中関係は人的交流というのが基礎の1つだ。このコロナの中で全くそれが動いていないというのがやはり非常に大きいのではないかと思う。

●首脳会談は定期的にやっていくべきで、政府間の会談というのも続けて意思疎通を図ることが大事だ。

河野氏は「人的交流」を重視するために中国外交部の華春瑩報道官とのツーショットを何度も自撮りしたのだろうか。

「首脳会談は定期的にやっていくべき」と回答したのは記者の質問の中に「来年は日中国交正常化50周年となるが、それを機に中国との間で首脳外交を再開するのか」という質問に答えたもので、つまり河野氏が総理になったら来年の50周年記念に「習近平を国賓として日本に招聘する」ということを意味する。

この一つを考えただけでも河野氏を総裁に選んだら、日本は「親中まっしぐら」に進むことを示している。筆者は『激突!遠藤vs.田原 日中と習近平国賓』で書いたように、今この状況下における習近平の国賓来日には絶対に反対だ。

河野氏はまた9月17日の記者会見で、弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する敵基地攻撃能力の保有に関し「おそらく昭和の時代の概念だ」と述べた(産経新聞<河野氏「敵基地攻撃能力は昭和の概念」>や朝日新聞デジタル<河野氏「敵基地攻撃論は昭和の概念」 高市氏唱える「電磁波」に異論>など)。

中国や北朝鮮を刺激したくないという意図が如実に表れている。

また、5Gなどを活用したデジタル社会を提唱してハイテク化を推進するような主張をしている割には、最先端のハイテクが必要な敵基地攻撃能力を「昭和の時代」と言って、日米同盟重視で逃げたことこそ「昭和の時代」と言うべきではないだろうか。回答で「敵基地攻撃能力」を「敵基地なんとか能力」と言ったところを見ると、ひょっとしたら敵基地攻撃能力の何たるかを明確には認識していないのではないかとさえ疑ってしまう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中