強権国家ベラルーシの女子陸上選手 強制帰国を拒否、保護を求める
Belarus Sprinter Says She Was Forcibly Removed From Olympics for Criticizing Coaches
羽田で帰国を拒んだベラルーシの陸上選手クリスチナ・チマノウスカヤ OBC News-YouTube
<オリンピック競技への出場を撤回され、帰国を強制されたベラルーシ選手が羽田空港でIOCに保護を求めた。政治亡命を求めているという>
東京五輪に出場中のベラルーシの陸上女子選手クリスチナ・チマノウスカヤ(24)は7月31日、代表チームから外され、帰国のために羽田空港に強制的に連れて行かれたと訴えた。インスタグラムで陸上チームのコーチらを批判したことが原因だという。
インスタグラムに投稿した動画の中で、チマノウスカヤは国際オリンピック委員会(IOC)に、自分の意志に反して帰国させられないように助けてほしいと訴えた。
「私は圧力をかけられた。コーチ陣は私の同意なく、この国の外に無理やり連れだそうとしている。私はIOCに介入を求める」と語るチマノウスカヤの動画は、政治的見解を理由に投獄や不当な扱いをうけたスポーツ選手を支援する人権団体「ベラルーシ・スポーツ連帯基金」チャンネルでも公開された。
ベラルーシでは、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の強権的な体制が続いており、政府に抗議する活動に参加したスポーツ選手が投獄されたり、代表チームから外されたりしている。
チマノウスカヤは、自分のチームから外されたのは、「インスタグラムでコーチの怠慢について書いた」せいだと主張した。その後、ベラルーシの首都ミンスクに戻るフライトに搭乗するために羽田空港に連れて行かれたと、国際ニュース専門チャンネル、フランス24は報じた。
選手に無断で出場登録
チマノウスカヤがインスタグラムに動画を投稿したのは、7月30日。そのなかで、ベラルーシ陸上チームの一部の選手がドーピング検査の不備で大会出場資格がないことが分かったため、コーチらが無断で自分を予定外の1600メートルリレーに出場者として登録したと説明している。チマノウスカヤには1600メートルリレーに出場した経験はない。
「コーチたちが事前に私に状況を説明し、リレーで400メートルを走ることができるかどうかを確認してくれていたら、ここまで激しく反応することは絶対になかった。でもコーチたちは私の知らないところで、勝手にすべてを決めた。私は情報を求めたが、無視された」と、彼女は動画で明かした。
BBCによると、この動画が投稿された後、ベラルーシ国営メディアはチマノウスカヤを批判した。あるテレビ局は彼女が「チームスピリット」を欠いていると評した。
チマノウスカヤによれば、8月1日にコーチらが部屋に来て、荷造りを命じられた。そして彼女は羽田空港へ連れていかれた。同選手は2日の陸上女子200メートルと5日のリレーに出場予定だった。CNNによると、ベラルーシ当局はチマノウスカヤを東京時間1日午後10時50分発の便に搭乗させる予定だった。