香港は中国で最も腐敗した都市になる
KILLING HONG KONG
しかし国安法の真の標的は、こうした非暴力の抵抗運動だった。中央政府の香港マカオ事務弁公室は民主派勢力の予備選挙を、「香港を(外国からの)介入と転覆活動の拠点とするための策動」だと非難した。香港連絡弁公室の駱恵寧(ルオ・ホイニン)主任も、野党が議会で「多数派となる」のは絶対に許せないと述べていた。
当然、2019年8月5日のゼネストも「『一国二制度』の根幹を揺るがす」ものと指弾された。
なぜ中国政府は、選挙や組合結成の活動を安全保障上の脅威と見なすのか。香港行政長官の林鄭月娥(キャリー・ラム)に言わせれば、当局に従わない勢力は全て「人民の敵」と見なされるからだ。
著名なジャーナリストの程翔(チョン・シアン)によると、民主派を根絶するという方針は昔からあった。国務院香港マカオ事務弁公室の主任だった張暁明(チャン・シアオミン)も、民主派を「死に追いやる」ことが中央政府の究極的な方針だと言い切っている。
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弾圧強化の分水嶺は2014年
中国政府は2014年に、香港に対する「包括的な管轄権」を強化する決意を正式表明した。当時、張は民主派議員に向かって「あなた方がまだ生きていられるのは中央政府の忍耐のおかげだ」と述べている。
また「真の普通選挙権」を求めた2014年の雨傘運動を受けて、香港マカオ事務弁公室の副主任だった陳佐洱(チェン・ツオアル)は「香港に災厄をもたらす勢力に対する長期の闘争」を宣言して、戦線を「街頭から法廷へ、立法会へ、行政府内部へ、大学へ、中等教育機関へ」と拡大させた。
国安法は中国政府の目標を達成する最終手段だ。まず標的とされたのは蘋果日報(アップル・デイリー)発行人の黎智英(ジミー・ライ)だった。
昨年8月10 日に、警察が本社に乗り込んで黎と息子2人と幹部4人を逮捕。今年4月には黎に禁錮刑の判決が下された。5月17 日には黎の資産6400万ドル相当が凍結された(その後、6月末に蘋果日報は事実上の廃刊に追い込まれた)。
民主派のシンボルで若き「女神」とも称された周庭(アグネス・チョウ)も逮捕され、禁錮刑に処された(刑期半ばで釈放されたが、その後は沈黙を強いられている)。
最大の弾圧の波は今年1月6日に来た。昨年の立法会民主派予備選の関係者53人を一斉逮捕。うち47人は2月末に起訴された。
民主派の票が割れないようにするための予備選が「国家・政権転覆」共謀の罪に問われたのだ。国際的に名を知られる黄之鋒(ジョシュア・ウォン)のような人物も身柄を拘束された。