最新記事

米台関係

菅の訪米直前、バイデンはここまで台湾に肩入れして見せた

China Threatening Regional Peace and Stability, Taiwan Tells Biden Envoys

2021年4月16日(金)21時15分
ジョン・フェン

バイデンは菅の訪米直前に、有力な閣僚経験者らから成る代表団を蔡英文総統の下に派遣した(3月15日、台湾総統府) Ann Wang-REUTERS

<外国首脳として初と喧伝されるバイデンとの菅の対面会談は、日本から台湾防衛の言質を取り、中国包囲網に組み入れる狙いと言われるが>

台湾の蔡英文総統は4月15日、ジョー・バイデン米大統領の要請で台湾を訪れた非公式な代表団と会談、中国軍による台湾周辺での活発な軍事活動は、インド太平洋の平和と安定を脅かす行為だと訴えた。

2016年に蔡が台湾総統に就任して以降、人民解放軍は台湾に対する軍事的圧力を強めている。蔡は15日、代表団を歓迎するスピーチの中で、台湾は地域の平和を守るために、アメリカと協力していく用意があると語った。

米代表団はクリス・ドッド元上院議員、リチャード・アーミテージ元国務副長官(ジョージ・W・ブッシュ政権)とジェームズ・スタインバーグ元国務副長官(バラク・オバマ政権)らで構成され、代表団の派遣はバイデン政権として初の訪台を意味する。

蔡は台北にある総統府に彼らを迎え、代表団の派遣は「台湾に対するアメリカの超党派の支持を示して」いると歓迎し、またバイデン大統領は選挙期間中から台湾との連携強化に取り組んできたとも述べた。

バイデンの「台湾重視」に謝意

バイデンは、かねてから台湾に対するアメリカの支持は「強固な」ものだと公言し、政権発足後もその姿勢を維持している。9日には米国務省が、米政府と台湾の当局者がこれまで以上に接触することを奨励する新たなガイドラインを発表し、3月にはアメリカと台湾の沿岸警備部門同士が協力する合意文書を交わした。蔡はこれらの動きについて、いずれも米台関係の「大きな進展」を示していると述べた。

アメリカと台湾の関係は、(アメリカで1979年に制定された)台湾関係法などに基づく、非公式な関係とされている。台湾関係法は(制定当時は上院議員だった)ドッドやバイデンの支持によって成立し、今年で制定から42年になる。現在では、アメリカと台湾は安全なサプライチェーンの整備や5Gテクノロジーなど、共通の関心分野において連携していると蔡は述べ、気候変動の問題でもバイデン政権に協力していくつもりだと述べた。

だが彼女が特に強い感謝を表明したのは、バイデン政権が中台間の平和と台湾の安全保障を重視している点だった。バイデンは16日にホワイトハウスで日本の菅義偉総理大臣と会談を行う予定だが、これらの問題についてはその会談でも話し合われる見通しだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中