「バイデンはトランプと同じく敵対的」──中国主要メディアが一斉に警告
China State Media Says Biden, Blinken's Views of China 'Identical' to Trump
南シナ海で「航行の自由」作戦にあたる米空母セオドア・ルーズベルト U.S. NAVY/REUTERS
<中国国営メディアと政府関係者は1月26日、バイデン政権が中国に対して、ドナルド・トランプ前大統領と「実質的に同じ」対決姿勢をとる可能性があるとの懸念を示した>
複数の中国国営メディアは、大統領選挙でトランプの「破壊的な」関税を批判していたジョー・バイデン大統領が最近になってそうした姿勢を後退させたことを受け、バイデンが「コワモテ」に見せようとしているのではないかと警告した。
バイデンが新国務長官に指名したアントニー・ブリンケンも、1月19日におこなわれた上院での公聴会で、「トランプの中国に対する厳しいアプローチは正しかった」と述べた。米中関係は、数年にわたってトランプが主導してきた貿易戦争や中国の人権侵害、新型コロナウイルスの発生源などをめぐって最悪の状態に陥っている。トランプと共和党員の多くは、バイデンが大統領になれば中国共産党に弱腰な政権になると主張してきたが、中国政府当局は、新政権も前政権と同じ「激しい反中感情」を抱いている可能性を指摘した。
中国政府系メディアが発表した論説は、1月25日の会見でバイデンの対中姿勢に関して質問の集中砲火を浴びたホワイトハウスのジェン・サキ報道官が「米中は激しい競争」のなかにあると言ったのを受けたものだ。中国最大の国営メディアのひとつである人民日報は読者に対し、バイデンは「アメリカという不安を癒す薬」にはならないと警告した。
アメリカの反中感情は「超党派」
中国大手紙の環球時報は26日の論説記事で、「サキの発言は、バイデン政権の中国に対する見方や性格づけが、トランプ政権と実質的に同じであることを示している」と述べた。「『中国と激しい競争関係にある』というのは、アメリカにおける超党派の合意事項だ」
「そうした姿勢は、トランプ政権時代の気まぐれな行動とは対照的な、健全な意思決定プロセスのように見えるかもしれない。しかし、ホワイトハウス記者会見での集中的な質問が示しているように、そこには見過ごすことのできない根本的な問題がある。バイデンの前任者の施策、とりわけ高い関税は、今後も引き続き、アメリカの経済、企業、消費者に損害を与えることになるだろう」と、環球時報は論説記事で警告している。
バイデンは、新型コロナウイルス感染症とアメリカ経済に集中的に力を注ぐと繰り返し明言しているが、今後数か月で中国への制裁関税を撤回する意思はなく、それ以外の点でも、トランプの攻撃的な対中姿勢に変更を加えるつもりがないことを示していると指摘している。