最新記事

感染症対策

韓国、コロナ規制違反の通報に褒賞金 相互監視への批判やフェイク通報も

2021年1月19日(火)17時40分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

5人以上の集まりが禁止された韓国だが、違反者を通報する自粛警察ならぬ「コパラッチ」が問題に Yonhapnews / YouTube

<ここは北朝鮮!? 自粛警察や耳野郎もビックリなコロナ通報者「コパラッチ」とは?>

日本各地で新型コロナウイルスの感染者が急増し、2回目の緊急事態宣言が発令されている。こうしたなか、日本政府は「新型コロナウイルス特別措置法」改正案を通常国会に提出するという。店舗の休業や時短要請に応じないと罰則が課せられ、その代わりに協力する事業者には財政支援を行うという。

日本同様に感染第3波到来した韓国でも、同じく店舗の休業など国をあげての防疫対策が始まっている。その一環として韓国では、規制に違反した事例を証拠写真付きで申告すると国から報酬がもらえるという"全国民監視員作戦"がとられた。まるで軍事政権時代に逆戻りしたかのようなこの取り組み、果たして効果はあったのだろうか。

違反者を通報するとお金がもらえる

日本では、昨年春の緊急事態宣言では、休業措置や外出規制などの自粛を守らない人たちをSNSに投稿する「自粛警察」という言葉が流行ったが、お隣の国・韓国では「コロナ」×「パパラッチ」で「コパラッチ」という新造語が登場した。

自粛警察との大きな違いは、コパラッチには国から報酬があることだろう。例えば5人以上の集会禁止なのにもかかわらず集まっている人びとや、決められた閉店時間を過ぎても営業している店、制限数以上の客を入店させているレストランなどなど......。これらの写真を撮って、行政安全部(日本でいうところの総務省)に報告すると、褒賞金がもらえる仕組みである。

この制度は、行政安全部が昨年7月から導入し、正式名称は「コロナ19安全申告制度」という。行政安全部の公式ホームページもしくは、アプリのコロナ申告カテゴリーをクリックすれば、誰でも簡単にコロナ安全申告ができ、その後1週間以内に申告者へ結果が報告される仕組みだ。

1カ月で3万件もの通報

気になる申告報酬金額は自治体や通報内容の申告度ごとに違うが、その申告が本当だった場合、約10万ウォン(約9400円)から最大100万ウォン(約9万4000円)ももらえるというから驚きである。

また、行政安全部は昨年末 、優秀申告者115人を選び、上位15人に行政安全部長から表彰状を進呈した。さらに、上位100人には褒賞金として商品券10万ウォンが贈与されたという。

実際、申告の件数はどの程度あったのだろうか。この制度が開始された昨年の7月から先月までの申告件数はなんと6万4283件にも上った。

とくに、昨年12月から韓国の防疫強化規定が引き上げられてからは、コパラッチからの申告数も急増。12月の申告件数は、なんと3万1314件もあり、それ以前の7〜11月までの全申告数を上まわるほどだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マクロスコープ:自民総裁選、高市氏に立ちはだかる二

ビジネス

英公的部門借入、公式予測を大幅に上回る 財務相の課

ワールド

FDA、ニコチンパウチの承認簡素化 試験プログラム

ワールド

米社債発行、利下げ後に急増 AT&Tなど約150億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中