米議事堂乱入に中国は「狂喜」するが......信じたいアメリカの修復力
何といっても中国はトランプ政権から「民主がない」「民主を弾圧している」と非難されて多くの制裁を受けてきたので、「これがアメリカの民主なのね!」と喜ぶのも、わからないではない。
かつて中国では公安関係者が巷での小さな暴動を起こした人に致命傷になるような銃を発砲した場合など「アメリカだったら、足に向けて発砲して逃げられないようにするだけなのに...」と、中国の公安関係者の「非民主性」と「残虐性」を非難し、アメリカに憧れたものだ。中国の若者にとってもアメリは「憧れの民主の砦」だったのだ。
しかし、若いネットユーザーたちもアメリカの「民主」の実態を知ってしまった。
アメリカ民主の修復力
それでもなお、アメリカの民主に対する修復力を信じたい。
何よりも注目したいのはペンス副大統領の対応だ。
ペンスはこれまで最も忠実なトランプ政権の閣僚であったはずだが、それでもこの乱入に関しては毅然として抗議している。日本時間で1月7日に入ってから、乱入者が排除され合同会議が再開されたが、再開に当たってペンスは以下のように述べている。
――アメリカ議会の歴史において暗黒の日になった。ここで起きた暴力を可能な限り強い言葉で非難する。大きな混乱を引き起こした人たち、あなたたちは勝利しなかった。暴力が勝利することはない。自由こそが勝つ。世界の国々は、われわれの民主主義の回復力と強靭さを目の当たりにするだろう。
トランプはペンスを裏切り者と罵ったが、しかし「民主主義は死なず」という印象を与えた。共和党のブッシュ元大統領も「これは政治が不安定な国の選挙結果で争いが起きたときに起きる現象であって、民主国家の私たちの国(アメリカ)で起きることではない」として強く非難した。
アメリカの民主主義への深い魂は、どんなに人種差別や貧富の格差が生まれようとも、粘り強い修復力を持っている。日本のような借り物の民主主義とは違う。自分で勝ち取った民主だからだ。
G7の中で意思表示をしないのは日本のみ
G7の中で今般のアメリカの議事堂乱入に関して非難声明を出していないのは日本だけではないだろうか。
フランスのマクロン大統領は英語でビデオメッセージを出し、「世界で最も歴史のある民主主義の国の一つで、現職大統領の支持者が正当な選挙結果に対して暴力による異議を唱えた。これにより投票という民主主義の普遍的理念が傷ついた」と訴え、イギリスのジョンソン首相は「トランプ大統領が人々に議会に向かうよう促した」と強調して、自由で公正な選挙結果を疑い続けたことが原因だと非難している。